2017年10月23日

第41話「三日で二度転倒」

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父ハム夫くん(92歳)が三日で二回転倒した。
それなのに、母チコちゃん(86歳)は、この事を全然心配していない。
第1回目の転倒は、父ハム夫くんの居室で転倒したらしい。
らしいというのは、誰もそれを目撃していないからだ。
母が買い物に行って帰ってきたら、畳に突っ伏して倒れていたのだ。
そこで母がとった行動は119番に電話ではなくて、地域包括支援センターに走っていき、いつもお世話になっているTさんに知らせたのだった。
すぐにTさんと保険師さんがかけつけ応急処置をしてくれたのだが、この件に関してボクが知るのはしばらく後になる。
センターに帰ってから、Tさんがボクに電話をしてくれて事の顛末がわかったのだが、頭をうった可能性もあるから病院に行った方がいいのではとTさんが母に言っても、母は「大丈夫、大丈夫よ」と言うばかりだったらしい。
その翌々日、母の留守中にまたしても父は転倒した。
今度は台所で、コーヒーメーカーが割れて床に散乱し、そこに尻餅をついた状態だったらしい。
今回は、近所に住む親戚のS子さんの知るところとなり、病院には行かなくていいよという母を説得して、クルマをぶっとばして外科まで連れて行ってくれたのだった。
幸い、骨には異常がなかったものの打撲は相当はげしかったようだ。
転倒して数日後に実家に行った妹のU子が、父の傷跡を撮影してLINEにアップしてくれた画像を見ると、小指から上腕部にかけて内出血していて痛々しかった。
母に電話して「次にこんな事があったら救急車をよぶんだよ」と助言したが、「大丈夫、大丈夫」という返答だった。
大丈夫と言う母チコちゃん自身が、全然大丈夫じゃないのではと思う遠距離介護者のボクだった。
八百キロ離れた両親が住むH県M市は遠い。
(つづく)
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2017年10月20日

第40話「金銭管理大混乱」

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二人でなんとか毎日を過ごしている父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)だが、いかんせん金銭管理ができない。
一時はゴミに出してしまった通帳を回収して、印鑑も照合し、キャッシュカードも再発行したが、この状態では二人にまかせられない。
父ハム夫くんに「金銭管理は代行するよ」と言って、なんとなくうなずいたので承諾したものとして、印鑑や通帳などは貸金庫に保管しているのが現状だ。
介護関連経費はその都度引き出し、後で参照した時にわかりやすいように、使用項目を鉛筆で通帳に記している。
生計費は一ヶ月毎に、母チコちゃんにまとめて渡すことにした。
金銭管理はこれでひと安心と思ったある日の早朝、母から電話があった。
ポケットに五千円しかないからお金を送れと言っている。
先日の第二次遠距離介護ツアーから帰京する時に生計費を渡しておいたので、まだ手元には現金があるはずなのにと考えていると、電話の向こうで近所に住んでいつもお世話になっている親戚のS子さんの声がする。
電話を変わってもらうと、なんでも二人で墓参りに行った帰りに、クルマの中で急に母チコちゃんが、お金がないと言い出し、75歳の飛ばし屋S子さんがアクセル全開で帰宅してきたところなのだそうだ。電話の向こうでは母のオロオロする声が聞こえる。
たしか母はショルダーバッグのポケットを財布がわりに使っていたので、そのことをS子さんに話して調べてもらったら、ボクが渡した封筒が手つかずのままあった。母が自分でしまったのを忘れていたのだ。
一件落着。
と思ったら、午後にまた母から電話。
今度は変な請求書がきたというのだ。時間をかけてききだすと、それは介護サービス事業所からのものだった。捨てられては困るので、とりあえず保管するように言って電話を切る。
すぐに事業所に連絡をして確認したら、毎月、サービス明細と金額を記した書類に認め印が必要ということだった。介護サービス契約者の父ハム夫くんと母チコちゃんが対処すればいいのだが、二人は金銭管理ができなくなっている。それだけでなく二人は介護保険を利用してサービスを受けている自覚がなく、事業所スタッフをボランティアの若者と思っているのだから、請求書の確認なんか論外なのだ。
事業所と相談して、今後は実家からクルマで約1時間の所に住む妹U子が処理することにきめた。さて、残る問題は母の手元にある今月分の請求書だ。
これも事業所と相談の結果、記載に不備があったので回収するということにした。
こうして無事に請求書も回収され、母もこの件は忘れてメデタシメデタシのはずだったのだが、その後も母から電話がかかってくる。
「あの請求書はどうなった?」と。
忘れてはいけないことはすぐ忘れるのに、忘れてほしいことはなかなか忘れない母チコちゃんだった。
(つづく)
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2017年10月18日

第39話「KAIGO日和・人物相関図」

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このブログも回を重ねて早二ヶ月、登場人物もだいぶ増えてきました。
父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)、遠距離介護者のボク、近距離介護者の妹U子、近所に住む親戚のS子さん、お向かいの美容院のマスターのM氏、地域包括支援センターのT氏、猫くん等々。
さらに今後も新たなキャラクターが登場しそうである。
そんなわけで、今回は『KAIGO日和』の人物相関図。
モデルのある人、ない人、いろいろ入り混じっています。
モデルのある人も、名前やら、続柄やら、性別やら、実際とは異なっています。
エピソードも100%真実ではありません。
イメージとしては49%くらいでしょうかね。
え〜っ、じゃあ真実じゃない割合が多いじゃないか〜!なんて言わないでください。
マンガ家のやることですから、あることないこと、ないことないこと、いろいろ入り混じってるんですよ。
只今、遠距離介護真っ最中のご同輩、すでに終わった先輩、これから始める後輩、遠距離介護にかかわるいろんな皆様に対するささやかな支援にでもなれば幸いです。
(つづく)
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2017年10月16日

第38話「父の半ケツ」

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父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が、家の外にも聞こえるくらいの大げんかをしていたと、実家の隣に住む親戚のS子さんから連絡があり、遠距離介護者としてはどうも気になる。
実家からクルマで一時間の所に住む近距離介護者の妹U子に様子を見に行ってもらうことにした。
妹からの報告によると、ケンカの原因は、病院に行く前日に入浴して清潔にしておきなさいという母と、風呂はいやだという父の間で口論になったらしい。
父ハム夫くんは、以前は無類の風呂好きだったのに、今のような状態になってからはあまり風呂にはいりたがらなくなったのだ。
結局、その時は入浴しなかったらしいのだが、妹が様子を見に行った日は自分からすすんでシャワーを浴びたらしい。
ただし、シャワーを浴びてしばらくしたら、またシャワーを浴び直したのだとか。最初のシャワーを忘れたのかもしれない。
着替えも自分でやったらしいのだが、シャツを何枚も重ねて着ていたので、妹がなんとか脱がせたようだ。
でも父本人は「あ〜サッパリした〜」と言っていたらしいから、これでいいことにしよう。
シャワーを浴びてくつろぐ父ハム夫くんの写真を妹がLINEにアップして見せてくれた。
それは父の後ろ姿。
自分で脱いだり着たりがうまくできない時もあるのだが、今回はまぁまぁなんとかなっている。
と思ったら、ズボンが少しズリ気味で、尻が半分出ている。
おもしろうて、やがて悲しき、父の半ケツ。
(つづく)
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2017年10月14日

第37話「遠距離介護者の近距離支援」

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遠距離介護ツアーは疲れる。
父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が住むH県M市の実家に滞在中は逃げ場がない。
もはや時空を超えつつある二人と連日24時間一緒なのは精神的に疲れる。
近距離介護者が休日をつぶして毎週末に訪れるのも大変だろうが、それとは違った疲れが遠距離介護者には蓄積するのだ。
ただ、遠距離介護にも利点はある。
実家を離れて我が家に帰宅すれば、リセットできることだ。
しかし、800キロ離れた父母のことはいつも心の隅にひっかかっている。
そんなことを考えながら歩く図書館からの帰り道、交差点で佇むオバーさんに話しかけられた。なにやら母チコちゃんと重なる姿だ。
「あの〜診療所はどこでしょうか?バスから降りて左に行けと言われて来たけど見つからないんですよ」
どうやら誰かと待ち合わせらしいのだが、その場所にたどり着けない様子だった。
診療所をiPhoneで調べたらここから徒歩6分の場所だ。降りたバス停からは九十度違う方向だ。
おそらくバスの進行方向に向かって左のところを、バスを降りて左と勘違いされたのだろう。
別に急ぎの用事もないので、目的地まで送ってあげることにした。
被介護者は違うが、遠距離介護者による、近距離支援である。
その道すがら、そのオバーさんが、わが母チコちゃんと同じ86歳ということがわかった。ウチの母は要支援1なんですよと言ったら、私はそんなのは受けてませんと胸をはるオバーさん。
杖をついてはいるものの、リュックを背負い足どりは思いのほかしっかりしている。
待ち合わせ場所まで来ると、娘さんらしきオバサンが不機嫌そうに立っている。たぶん、これからの予定が狂って怒っているのだろう。
ボクにろくにお礼も言わず、オバーさんを連れて去って行く。
まぁ気持ちがわからないでもない。毎日のようには母親がトラブルを起こして自分の生活もグチャグチャになっているのかも知れない。
そんなことを思いながら帰宅すると、実家の隣に住む親戚のS子さんから「お父さんとお母さんが外に聞こえるくらいの大声でケンカしてたよ〜」と電話があったと妻からきく。
ふ〜ん、いくら大声でも800キロ離れたここまではきこえないよな〜と、ため息をつく遠距離介護者であった。
(つづく)
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