2017年12月29日

第65話「ウクレレライブと介護認定」

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第三次遠距離介護ツアーにはウクレレを持参した。
介護ツアーを終了して帰京後に、ちょっとした会合でウクレレを演奏する予定があったからだ。これに備えて実家で介護生活を送りながら、ウクレレの練習もしようと思い、楽譜もスキャンしてMacBook Proに入れて持って行ったのだ。
しかし介護ツアー中に一度もウクレレに触れる事はなかった。
もちろん、24時間ず〜っと父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)と向き合っているわけではないから、ウクレレを触る時間はある。
しかし、ひとつ屋根の下に2週間もダブルボケボケコンビと一緒に暮らしていたら精神的に疲れてしまい、とてもウクレレをポロン♪と奏でる元気は出ないのだ。
そんなこんなで介護ツアー中は全く練習せず、帰京後に当日会場で相棒と落ち合いぶっつけ本番になってしまった。
会場では、このブログ『KAIGO日和』を見てくださっている人にもお会い出来、とりあえず100話まで続けて書籍化だ〜っと盛り上がり、リラックスして演奏にのぞんだせいか、後日録音した音源を聴いたらそれほどひどい出来でもなかったのでひと安心した。まさに自画自賛というか、自音自賛のウクレリアンである。
音源には入っていなかったが、演奏中に胸ポケットに入れていたiPhone SEが着信していたようで、着信履歴をみたら介護事業所のケアマネさんからだった。
何かあったのかと折り返し連絡したら、母チコちゃん(86歳)の要介護認定区分変更決定のお知らせで、結果は要支援1からまさかの要介護2になっていた。
ちなみに認定結果は、要支援1から要支援2、要介護1から要介護5まで順に重い度合いになっていく。
今までは要支援1の母チコちゃん(86歳)が要介護1の父ハム夫くん(92歳)の面倒をみていたのだが、これからは要介護2の母が要介護1の父の面倒をみるという逆転した構図になる。ケアマネさんも区分変更後は要介護1程度と思われていたようで、お互いに驚きの感想を述べあう。
きくところによると、その時の介護認定審査会のメンバー構成によっても、判断は大きく変わるそうだから、こんなこともあるんだろう。ホント、この介護ってやつは毎度予想外の展開でビックリすることが多い。ノンキにウクレレを弾いてる場合じゃないね。
てなわけで、もうすぐ新しい年が明けて、遠距離KAIGO生活も足かけ2年目を迎える。
全国の遠距離介護者の皆さん、よいお年を!
(つづく)
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2017年12月25日

第64話「母からの玉手箱」

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第三次遠距離介護ツアーから帰ろうと、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が住む実家を出ようとしたら、母チコちゃんから手のひらにのるくらいのサイズの小箱を手渡された。
帰る間際に謎の小箱だなんて、まるで玉手箱だ。
母チコちゃん(86歳)の説明によると、ボクを産んだ時のヘソの緒が入っているという。
へ〜そ〜」と心の中でつぶやいてみる。
普通、ヘソの緒は桐の箱に入っているものだと思うが、それは化粧品の箱のようで、メーカーのロゴが印字された紙の箱だ。蓋をあけてみると中には茶封筒が折り畳まれている。なんだか意味不明だが、この中にヘソの緒が入っているらしい。
さらに母チコちゃん(86歳)が言うには「アンタのヘソの緒はあったが妹U子のはなかった」そうだ。
どういう意味合いなのかよくわからないが、一刻も早く実家を脱出したいので、とにかく受け取ってポケットに入れる。折からやってきたタクシーに乗り込む。
車内でフーッとため息をついて、今のやりとりは何だったか考えようとしたら、タクシーの運転手さんが話しかける。
話好きそうなオバちゃん運転手だ。
「今のはご両親?おいくつですか?」ときいてくるので、考えるのをやめて答える。
運転手さんは「92歳まできたら100歳までは大丈夫よアハハハ〜」と前を見ないで後部座席を振り返って話し続けるのだった。なんでもこの運転手さんは以前介護施設に勤務していてお年寄りを一杯見てきたので長生きする人のことはわかるんだそうだ。
ふ〜む、100歳と言うとあと8年か…と考えていたら駅に着いた。
JRの車内で再び考える。
そういえば今回の第三次遠距離介護ツアー中に、母チコちゃんが子どもだった頃の古いアルバムも見せられた。
ヘソの緒といい、古いアルバムといい、過去のものを処分し始めているのだろうか。それとも、物忘れが激しくなって家中をしょっちゅう何かを探してまわっているので、その時にたまたま見つけたものなのか、真相はわからない。
いまや時間を超越したような両親だが、時間の波の中で溺れかけているような気もする。
帰宅後あけてみた封筒の中には、漢方薬のような黒いモノが入っていた。たぶんボクのヘソの緒なんだろう。
で、これをどーしろっつーの!
第65話につづく
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2017年12月22日

第63話「第三次遠距離介護ツアー帰宅編」

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介護しに来たのに、自分のほうが介護されそうな体調になってきたので、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が住む実家を緊急脱出した。
しかし、ここで踏ん張るのが遠距離介護者なのだ。
せっかくはるばるやって来たんだからこのまま直帰はもったいない。どこかで途中下車して、何か記念になることがしたいではないか。
本当はもう数日滞在した後、帰路にH市で途中下車して、寒空はだか師匠のライブを楽しむつもりだったのだが、今の体調ではそれは無理だ。
そのかわりにといってはアレだが、新幹線に乗り換えるH駅で途中下車し、スターバックスでH県限定のタンブラーをゲットした。これは妻へのお土産だ。しかもそれだけでなく翌週に迫った誕生日プレゼントにもしようというのである。
掛け値なしにささやかなイベントである。
新幹線の時刻が迫っているのでスタバ店内には入らず支払いをしてそのまま出ようとすると、レジで長〜いレシートが出てきた。正式名称は知らないが、レシートに記載されているサイトでアンケートに答えると飲み物が1杯無料になるプレゼントだ。以前にもどこかの店で出た事があるが、それ以来数年ぶりだ。急いでいるのに、店員さんが説明を始めるので、わかりましたと返事をして新幹線ホームに急ぐ。
階段を上りながら「今回もいろいろあった遠距離介護ツアーだったけど最後にいいことがあったなァ」としみじみ思うのだった。
なんてささやかな喜びなんだろうか!
こうして、なんとか途中で倒れる事もなく、帰宅して妻にお土産のH県限定タンブラーを渡す。予想通りあまり嬉しそうな顔はしないが、ボクの顔を見ながら「ずいぶんやつれたね〜」と労いの言葉をかけてくれる。浴室の鏡で確認したら確かにゲッソリしている。
実家では、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が入浴しなくなっていたので、ボクもそれにひきづられシャワーでごまかしていたが、久しぶりに我が家の浴槽につかり暖まるのだった。
風呂上がりに体重計にのったら、体重は2週間前の遠距離介護出発時とほとんど変化していなかったが、体脂肪が3%、内蔵脂肪が2%落ちていた。体の芯に疲れがきていたんだろう。
さて、明日からまた机に向かってマンガを描く生活に戻るのだが、完全に元のペースに復帰するのは2週間くらいかかりそうである。
あ〜疲れた。
第64話につづく
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2017年12月18日

第62話「第三次遠距離介護ツアー撤収」

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第三次遠距離介護ツアーもあと数日、母チコちゃん(86歳)の、古そうな調味料で味付けした夕食をおびえながら食べるのもあと数回、と思いつつ夕食の席で箸を動かしていたら、眼前にヌッと出されたのが、猫クンのウンコ。
母チコちゃん(86歳)が嬉しそうに「こんなにたくさん出しとるわ」と見せてくれる。母チコちゃん(86歳)はなぜか、猫クンのウンコに始終注目していて、人間が食事中でもそれを最優先させるのだ。
ボクはいっぺんに食欲がなくなり、食器を片付けるのだった。
その夜。
大量の寝汗をかいて目が覚めた。あわてて着替えて眠るも、しばらくするとまた大量の汗で目が覚める。これを何回か繰り返しているうちに着替えがなくなってきた。
熱はないようだが寒気がして、体調はますます悪くなっている。なんとか今回の遠距離介護ツアーの最低限やるべきことは達成したので、気が抜けてドッと疲れが出たようだ。
父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)の、つじつまの合わないダブルボケボケ攻撃をステレオで朝から晩まで浴びるのは、二週間が限度かもしれない。
あと3日はここに留まるつもりだったが、このままでは寝込んでしまいそうだ。
両親の介護をしに来たのに、これでは自分が介護される側になってしまう。
暗い部屋のラジオからは深夜放送が流れる。天気予報では台風が近付いているらしい。
今は決断の時だ。
決断3秒ルールで、1、2、3!
よし撤収開始だ!
朝になったらすぐに帰京しよう!
途中で倒れそうな気もするが死ぬ気になって我が家までたどりつくぞ!
こうなったら寝てる場合じゃない、すぐにコタツの上にあるMacBook Proの作業中のファイルを保存してシャットダウンする。持ち帰る資料等はリュックに詰めこみ、夜が明けたらいつでも帰れるよう支度をする。
それにしてもあと3日は頑張りたかった。
その理由は、寒空はだか師匠のライブが、ここH県M市から東京に帰る途中のH県H市で3日後にあるからなのだ。第二次遠距離介護ツアーでは、介護をしにH県M市に来る前にK府K市で途中下車して、寒空はだか師匠のライブを楽しんだのだが、今回の第三次遠距離介護ツアーは介護の後に途中下車してライブを楽しもうと密かに計画を立てていたのである。
しかしあと3日間も実家に滞在する元気は、今のボクにはない。
ああ、それにしても寒空はだか師匠のライブに行きたかったなァ。
今回の遠距離介護ツアーの教訓は、介護とお笑いライブは両立しない…ではなくて、やっぱりライブは介護の前にかぎる!なのだった。
いや、そもそも介護とライブの組み合わせ自体が間違っているような気がしないでもない。
第63話につづく
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2017年12月15日

第61話「第三次遠距離介護まとめ」

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約二週間に渡った第三次遠距離介護ツアーも、介護認定訪問調査立ち会い、介護事業所との打ち合わせ、金融機関巡り、必要な支払い、各種手続き等々ほぼ片付き、終わりに近付いた。
あとは目につく細々とした雑事をこなすだけだ。
そんなこんなで、今回の第三次遠距離介護ツアーの反省をしてみる。
まずは全体の総括。
約二ヶ月前の第二次遠距離介護ツアーとの大きな違いは、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)の、生活の質の低下、Quality of Lifeとは略称QOLってやつだ。
以前は、二人を遠くから見守ればよかったが、今回は常に二人に目配りしつつ、後を追いかけ手助けしなければいけない場面が増えた。
母チコちゃん(86歳)はますます時間を超越するようになり、冷蔵庫の中は期限切れの食品だらけだ。
父ハム夫くん(92歳)は空間も超越するようになり、ゴミを集積場に持って行かずに、近くに住む親戚のS子さんの畑に穴を掘って埋める姿を何度も目撃されている。
周囲のハラハラをよそに二人はケロッとしている。
ある意味、時空を超えて生きる父母は悟った禅僧のような境地かもしれない。
禅問答のような会話を、何度も何度も何度も…しても倦む事はない。
しかし、同じことをきく繰り返しに耐えられないこちらは悟れない。
自分の人間としての器の小ささを実感する。介護とは修行なのか。
そんなこちらの気持ちは全く気にせず、母チコちゃん(86歳)は、父ハム夫くん(92歳)を介護している気になっている。
例えると、以前は小学高学年の母チコちゃん(86歳)が、小学低学年父ハム夫くん(92歳)の世話をしているイメージだったが、今は小学低学年の母チコちゃん(86歳)が、幼稚園年長の父ハム夫くん(92歳)の面倒をみている感じだ。
今後は、幼児の母チコちゃん(86歳)が、乳児の父ハム夫くん(92歳)を介護するような流れになるのだろうか。あれこれ考えても仕方がないので、今は保留しておく。
第三次遠距離介護ツアーの新しい試みで一番の失敗は耳栓。
耳の遠い二人の爆音テレビ音対策用に持参したのだがあまり役に立たなかった。やっぱり100円ショップの耳栓じゃダメだったか。
MacBook Proを持参して仕事をする作戦は、まぁまぁ成功した、とはいっても、当初予定した2割くらいしか進行しなかったのは反省点だ。
と、反省点をメモっていたら母チコちゃん(86歳)が、先日の自分の誕生日の話を何度もし始めた。ハッピーバースデーの歌で、最後の名前の前に出て来る歌詞の意味がわからないというのだ。おそらくdearチコちゃんの部分のことだろう。発音と意味を教えてやったら「イヤー♪チコちゃん」だと思っていたと嬉しそうに言うのだった。ハッピーニューイヤーと混同していたのかも。横で父ハム夫くん(92歳)も、この会話が理解出来たのかどうかは不明だがニコニコしている。
まぁいろいろあったが、本人たちが全然悩んでいないんだから、遠距離介護者のボクがあれこれ反省したり悩んでもしょうがないなと考え、これ以上第三次遠距離介護の総括と反省なんてしないことにした。
第62話につづく
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