2018年02月12日

第72話「ハンニャの間」

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いわゆるゴミ屋敷というほどでもないが、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)の二人が暮らすH県M市の実家は、不用品であふれている。
旅行のお土産、何かでもらった賞状や記念品、布団類、衣類、半分こわれかけた電気製品やそれらのケーブル類などが、ふだん使われていない部屋につっこまれて室内はモノであふれかえっている。
これまでの遠距離介護ツアーで実家に行ったボクは、いつもそんな部屋に寝泊まりしている。
以下は、第三次遠距離介護ツアーで実家に滞在中に起こったあるできごと。
日中は二人の相手をし、夜は得体の知れないガラクタに囲まれて生活していると精神的に疲れる。フトンにもぐりこんで、ふと目を壁にやると、そこには般若のお面が掛けられている。どこかに旅行した時のお土産かも知れないが、ジッとこちらを見下ろしている。
そんなわけで、ボクは密かにこの部屋を「ハンニャの間」と名付けている。
般若と目を合わせたくないので横を向くと、地震に備えて家具等を固定するツッカイ棒のようなものが転がっていた。出入り口のガラス戸にはガムテープを貼ったあともある。今まで気がつかなかったが、いったいこれは何なのか?忘れないようにiPhoneにメモして眠りにつく。
翌日、この件について父母にきいてみたら、「お客さんの誰かが勝手に部屋をのぞいたり入ってきたりするので、出入り口にツッカイ棒をしたり、ガムテープで封印したんじゃ」と言うのだった。
その誰かとはダレ?ときいても「さぁ誰じゃったか」という予想通りの回答が返ってきた。
お客さんが来ることは最近はほとんどないような日々を送る二人の生活なのに、いったいこのツッカイ棒とガムテープの件は、どういう意味なんだろうか。
謎の多いこの家に、またひとつ謎が増えた。
真実は、壁にかかった般若のお面だけが知っている。
(つづく)
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posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記