2018年07月30日

第96話「入院そして退院」

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急に体調が悪化した父ハム夫くん(92歳)に付き添って救急車に乗っている。
ハム夫くんは、酸素マスクみたいなものをつけられて息が苦しそうだ。
それにしても救急車は揺れる。ベッドに横になっているハム夫くんが落ちてしまわないか心配になる。
本来なら今朝はショートステイに行って、その後は皮膚科にハム夫くんを連れていくことになっていたので、保険証とお薬手帳の入った通院セットはリュックに入っている。そんなわけで、このまま病院に行っても入院手続きはすぐにできる。
この皮膚科に行くというのは、前日やってきた訪問介護スタッフが足を洗ってくれている時に、ミズムシになってるようなので一度皮膚科に行った方がよいのではと助言してくれたからだ。ほとんど外出しない父ハム夫くんがミズムシになったのは、数ヶ月前から足がむくんでパンパンにはれていて、足指が常にくっついた状態でいたせいだと思われる。
しかし、救急車で運ばれている現在、ミズムシなんてどうでもいい
そうこうしているうちに病院に着いた。
救急診察室で、病院スタッフに囲まれたハム夫くんは仰向けに寝ている。
ボクがよびかけると一瞬目があいた。
スタッフがその反応に驚いている。これまで何も反応していなかったのだろうか。
応急処置をして五階の病室に入ることになったので、実家の近所に暮らす親戚のS子さんにLINEで連絡する。
しばらくして母チコちゃん(86歳)が、S子さんのクルマで病室までやってきた。
家族は今夜は泊まり込みになるかもとの病院スタッフの言葉に、母チコちゃんとS子さんはとりあえずハム夫くんの顔だけ見て、入院に必要な衣類等をとりに家に帰って行った。
残ったボクは、主治医と今後の治療方針について打ち合わせし、病院スタッフから入院について説明を受け、入院手続き書類にあれやこれや記入する。
病室にいても、その後は他にすることもなく、ベッドに横たわるハム夫君を見つめる。酸素マスクをつけているが、鼻も口も大きく開いてかえって呼吸が苦しそうである。
病院スタッフからいまのうちに食事をされたほうがいいですよと言われて、はじめて朝から何も食べていないのに気付く。
一階の食堂に行き、本日のオススメの親子丼を食べる。
これが思いのほかうまくて、食べているうちにドンドン元気が出てきて、これなら今夜の病室詰めもなんとかなりそうだわいと思っていたらiPhoneに着信。
電話は五階のナースセンターからで、容体が悪化したからすぐきてほしいとのこと。
あわててかけつけたら、もう心臓はほとんど動いていなくて、呼吸もほとんどなくなっていた。
担当医がやってきて、「お母様がお見えになってからまた来ます」と言って去っていく。
30分後くらいに、再び母チコちゃんとS子さんがやってきた。
父ハム夫くん(92歳)を見て、「薬で眠っとるんか」とつぶやく母チコちゃん(86歳)だった。
しばらくして担当医が来て「○時○分なんたらかんたら…」と言っている。
救急入り口から入って、霊安室脇の出口から出ていくハム夫くん。
わずか数時間の入院だった。
毎回、遠距離介護ツアーは、出発前にToDoリストを作成していくのだが、ほとんど計画通りにいくことはなかった。しかし今回ほど想定外の展開は初めてである。
よっしゃ、こうなったら、親子丼パワーで、最後の親子イベントに突入するのだ!
第97話につづく
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2018年07月23日

第95話「感謝しながらキモチA〜♪」

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第5次遠距離介護ツアーで、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らすH県M市の実家にやってきて三日目の朝。
三日後には93回目の誕生日を迎える父ハム夫くんが、二泊三日のショートステイに出かける日だ。
昨日は、ほとんど何も食べず、一日中眠りこけていたハム夫くんだが、今朝はちゃんと目覚めて、パンとミルクの朝食後、デザートにバナナを食べている。
やがて訪問看護スタッフがやってきて、体をきれいにして着替えも手伝ってくれる。スタッフの指示にしたがいながら、ハム夫くんは「気持ちがえ〜の〜」とか「ありがとう、ありがとう」と感謝の言葉を発している。
ところが、食後の服薬確認あたりから、ちょっと様子が変になってきた。
薬を飲んだ後、水がうまくのみこめないようで、少し水を吹き出したのだ。
なんだか「ウ〜ンウ〜ン」と小さくうなっている。
母チコちゃん(86歳)にきいたら「いつものことじゃ」と言うのだが、少なくともボクはこれまでハム夫くんがうなっているのをきいたことはない。
そうこうしているうちに、ショートステイ先のスタッフが迎えにやってきた。
一方、先にやってきていた訪問看護スタッフは、ハム夫くんの体温や血圧をはかって、その結果から、今日のショートステイは中止にしたほうがいいとの助言をしてくれる。
ボクはもちろん同意する。
訪問看護スタッフとショートステイ先のスタッフが、ハム夫くんを両側から支えてベッドまで連れていく。
ハム夫くんはおとなしく横たわる。
父ハム夫くんがショートステイに行っている間の、母チコちゃんの様子を確認するのが、今回の遠距離介護ツアーの目的のひとつだったのだが、この状態では断念するしかない。
そんなことを考えていたら、訪問看護スタッフが、いまの父ハム夫くんの様子を医師に連絡して判断をあおいだほうがよいと助言をくれる。えっ、ただショートステイを休むレベルではないくらいの具合の悪さなのだろうか。さっそく医師に連絡すると救急車を要請したほうがいいとのことだった。
これを訪問看護スタッフに話すと、そのほうがいいですとのこと。
救急車か…と混乱しているボクに向かって、訪問看護スタッフは何か言っている。
救急車は家族の方が要請してください」と言っているのがきこえる。
訪問看護スタッフは、こういう現場に慣れてるんだから、さっさと救急車を要請してくれてもいいような気がするが、マニュアルでは家族に電話連絡させるようになっているのかも知れない。
それにしても救急車だ。
救急車の119番は何番だった?
救急車だから994がいいのでは?
でも9と4では縁起が悪い?
などとバカな問答を頭の中でしながら救急車を要請するのだった。
第96話につづく
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2018年07月16日

第94話「わが母チコちゃん、初めての一人暮らし」

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第5次遠距離介護ツアーで、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らすH県M市の実家にやってきた。
今回のメインエベントは、父ハム夫くん(92歳)がサービス付き高齢者向け住宅(略称サ高住、もしくは、サ付き)にショートステイに行っている間の、母チコちゃん(86歳)の状態を確認することだ。
これまで父ハム夫くんは、1泊2日のショートステイを何回か経験して、先日からは2泊3日のショートステイをするようになっている。
そんな父ハム夫くんが不在の間、母チコちゃんの生活はどーなっておるのか謎なのだ。
実家の裏に住む親戚のS子さんや、介護事業所のスタッフなど、周囲の声からすると、母チコちゃんは手持ちぶさたなのか近所の電気屋で2時間もおしゃべりしたり、意味のない掃除やら整理やら、本人は家事だと思っているムダな動きをしているらしい。
たぶん、何をどうしていいのかわからないのだろう。
母チコちゃんは裕福な家の末っ子で、可愛がられ甘やかされて育ち、結婚してからは夫の庇護のもとで社会的なことにはタッチせずぬくぬくと過ごしてきた箱入り婆さんなのだ。家の中のことはともかく、対外的なことは一人では何もできないのが現状だが、いまから自立した女性として生きろというのは無理である。
父ハム夫くんがショートステイで不在な間が、おそらく初めての一人暮らしなのだ。
ちょうど明日から、父ハム夫くん(92歳)の2泊3日のショートステイが始まる。
この2泊3日の間は、母チコちゃん(86歳)は短期未亡人生活にはいるのだ。
順番からいって、いずれは一人暮らしをするようになるであろうから、その日のための予行演習ともいえる。
初めてのおつかいならぬ、母チコちゃん初めての一人暮らしは、果たしてどんな日々なのか。
第95話につづく
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2018年07月09日

第93話「謎の女子会」

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父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らすH県M市への遠距離介護ツアーの合間で、二人の様子をさぐるには電話が一番である。カステラが二番なのかはどうでもよい。
来週からの第5次遠距離介護ツアーを前にして、近況を電話できいてみた。
最近元気?という定番に始まって、あれこれ話していると、毎回必ず出て来るのが「市の脳トレ教室に行ってきたよ」というエピソードだ
あまりにも毎回言うものだから、かえって不信感が募り市役所に問い合わせてみたら、たしかに以前は市が主催の脳トレ教室があったらしいが、今はないということだった。
それなのに、母チコちゃんは毎週第一水曜日と第三水曜日に行っているという。
行く時はバスで行く時もあり、調子がよければ歩いて行く時もあるという。帰りに疲れた時はタクシーで帰ることもあるという。実にリアルである。
でもそんな事実はない。
この母が言う「市の脳トレ教室」なるものについて、詳しくきくとメンバーの誕生会やら、お花見やら、はたまた廃線が決まって急に人気が出てきたJRのローカル線に乗りに行ったりしているという。全然「脳トレ教室」の活動ではない。
どちらかというと年輩者の女子会の活動ではないか。
こんなときはインターネット検索である。
とはいっても、こんなハッキリとしない状態で実態にヒットするのは至難の技である。そんな時は画像検索だ。
市の名称、脳トレ、誕生会、廃線などを検索ワードにしてサーチしてみる。
たくさんの画像が表示されるが、その中にバーさんたち数人が、誕生会とかいたカードを持った画像がいくつかあった。その中のひとつに母チコちゃん(86歳)の姿を発見した。画像の置いてあるURLを開いたら、なにかのサークルのサイトだった。主催者はさまざまな活動をしている人らしく、日々の活動をアップされているようだ。その中のコンテンツのひとつに、主催者のお母さんとその友達のグループでランチしたりするものがある。そのメンバーの一人が母チコちゃん(86歳)だった。断片的な情報をつなぎあわせると、このメンバーは以前に市が主宰した脳トレ教室での同期生だったようだ。脳トレ教室が終了したあとも交流が続いて、ランチしたり一緒にどこかに行ったりしているらしい。
まだまだ謎の多い女子会ではあるが、わが母チコちゃんが楽しんでいるのなら、それはそれでいいだろう。
第94話につづく
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2018年07月02日

第92話「ハム夫くん要介護3」

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わが父ハム夫くん(92歳)介護認定区分変更結果の書類が届いた。
本来なら、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らすH県M市の実家に送られるものだが、郵便物受け取り後の管理がうまくできなくなっている二人だから、約800キロ離れた我が家に届くようにケアマネさんが手配してくれたのである。
封筒の中には、通知書と新しい介護保険証が入っている。
おそるおそる開封してみる。
前回の遠距離介護ツアーで立ち会った介護認定区分変更訪問調査の結果は、要介護3だった。
これまでは要介護1だったから、二階級特進であるエッヘン!などというものではない。
さてこれで一段落、ではなく遠距離介護者のやることはまだまだある。
このたび交付された介護保険証でケアマネさんはいろいろ手続きがあるようで、コピーを送ってくれといわれていたのだが、ウチは現在プリンタは使っていないので、コンビニに行ってコピーをとらなければならない。
さらに封筒に入れて切手をはって郵送は、とても面倒臭い。
スキャナーで介護保険証をスキャンして、メールに添付して送ることにした。
しかし、ケアマネの名刺にはメールアドレスはない。
父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らすH県M市だけのことなのかもしれないが、介護関連の人と会って名刺交換してもメールアドレスが記してないことが多い。
ケアマネの名刺にはなかったが、同じ時に顔合わせした介護事業所管理者の名刺にはメールアドレスがあったので、ここ宛にスキャンしたデータをPDFファイルにして送ってみた。
本文なしで、ただファイルを送るのもさみしいので、父ハム夫くん(92歳)の月間介護予定表をPDFファイルにして送ってくれとも書いておいた。
今まで予定表はプリントしたものを手渡されていたのだが、ファイルで送ってもらえば便利である。
数日後…。
介護保険証をスキャンしたデータは、ちゃんと受け取れたとショートメールで返信が届いた。
さらに数日が経過した。
月間介護予定表のPDFファイルは届かない。たぶん、今後も届くことはないだろう。
とにもかくにも、父ハム夫くん(92歳)は要介護3レベル確定した。
これまでよりは、介護サービスも多く受けられるようになるのはよいことだ。もっとも、そのぶん以前よりは費用も多くなるのは、ちょっと困ったチャンである。
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