2017年09月27日

第30話「猫クンと獣医師免許」

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老夫婦ふたり、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)の生活は静かである。
二人とも耳が遠くなっているので、会話が続かないのだ。
それでもボソボソ話しかけている声がする。
お互いにではなく、猫クンに話しかけているのだ。
この猫クン、数年前に野良猫として生まれ、そのまま死にかけたところを親切な人に拾われ、縁あってもらわれてきたのだそうだ。
この猫クン、なぜかほとんど声を発しない。
そのかわり聞き上手である。
父と母が自分に向かって勝手に話すのを黙ってきいている。
ニャーとなくわけでもないのだが、父と母は楽しそうに話しかけている。
かける言葉で一番多いのは「ご飯食べたか〜?」だ。
その都度、父と母は猫クンにキャットフードを餌用の容器にいれてやっている。
物忘れの多い二人だから、さっき餌を与えたばかりなのを忘れて、日に何度もこれを繰り返している。
これへの猫クンの対応が素晴らしい。
あきらかに満腹だろうに、餌をもらうたび必ず口をつけるのだ。そして、父なり母なりが自分の方を見ている間は、少しずつ口に運んでいる。やがて、自分の方を見てないなと確認できたら、鼻息をフーッと吐き出し、どこかに歩いて行くのだった。
この猫クン、肥満気味である。父と母に気をつかって、腹ぺこでもないのに餌を食べ続けているのだから当然だろう。
「この猫クン太り過ぎじゃないの?」と父に言ったら、「獣医の目から見てこのくらいなら大丈夫じゃ」との答えがかえってきた。
そういえば、一時検討していた、ボクが父の成年後見人になる件だが、もしも父が被成年後見人になったら獣医師免許が無効になるところだった。獣医さんだったというのは、父が父たるゆえんのひとつでもあるから、この点だけでも成年後見人問題がなくなったのはよかったのかもしれない。
しかし、この猫クン、やはり食べすぎと運動不足で太り過ぎだとボクには思える。今後も健康に気をつけて、父と母の話し相手として長生きしてほしいものである。
(第31話に続く)
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posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記
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