
長かった今回の第二次遠距離介護ツアーも今日が最終日。
昨日からスタートした介護サービスの二日目の様子を見届けてから、帰路につくことにする。
昨日と同じく事業所のスタッフがやってくる。
父ハム夫くん(92歳)も、母チコちゃん(86歳)も、介護保険利用でサービスを受けるということに関して全く理解していないので、また誰かがやってきたという印象しかないようだ。
父ハム夫くんは、ちょうど横になっていた。
急に起こすと機嫌が悪くなるのではと心配したが、看護師でもある事業所スタッフさんは、ゆっくりと呼びかけ、父が自分で起き上がるのを待っている。
歩くのは自力でなんとかなる父も、横になった状態から起き上がるのは少し時間がかかる。
スローモーションのように立ちながら父はつぶやく。
「なさけないの〜」
ホント、自分の状況がなさけないのだろう。
しかし周囲ができるのは見守るだけだ。
起き上がってからは介護サービス初日と同じく、ちゃんと薬を飲む父ハム夫くんだった。
これで薬管理の方はなんとかなる見通しがついたのでホッとする。
次は来週の通院同行サービスだが、さすがにそこまでは実家に滞在出来ない。
今回の第二次遠距離介護ツアー出発前に原稿の描きだめをしてきたが、それも底をついてしまっている。
薬服用確認後にスタッフも帰り、ボクもそろそろ出ようかと荷物の整理をしていたら、母チコちゃんが部屋中をウロウロししながらブツブツ言っている。
「またなくなった、なさけない、なさけない」
父についで母の口からも、嘆きの言葉が出てくるのだった。
何がなさけないのかきいてみたら、いつもモノがなくなってしまい、一日中探し物ばかりしているのがなさけないのだそうだ。
今さがしているのは通院時に必要な保険証。
このままにしておくわけにもいかないので一緒に探したら、いつも外出時に持って行くカバンの中に入っていた。
来週の通院時まで保険証の所在がどうなるか心配ではあるが、もう時間もないので駅に向かうボクだった。
実家に、嘆きの父母を残したまま…。
(第34話に続く)
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