2017年10月14日

第37話「遠距離介護者の近距離支援」

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遠距離介護ツアーは疲れる。
父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が住むH県M市の実家に滞在中は逃げ場がない。
もはや時空を超えつつある二人と連日24時間一緒なのは精神的に疲れる。
近距離介護者が休日をつぶして毎週末に訪れるのも大変だろうが、それとは違った疲れが遠距離介護者には蓄積するのだ。
ただ、遠距離介護にも利点はある。
実家を離れて我が家に帰宅すれば、リセットできることだ。
しかし、800キロ離れた父母のことはいつも心の隅にひっかかっている。
そんなことを考えながら歩く図書館からの帰り道、交差点で佇むオバーさんに話しかけられた。なにやら母チコちゃんと重なる姿だ。
「あの〜診療所はどこでしょうか?バスから降りて左に行けと言われて来たけど見つからないんですよ」
どうやら誰かと待ち合わせらしいのだが、その場所にたどり着けない様子だった。
診療所をiPhoneで調べたらここから徒歩6分の場所だ。降りたバス停からは九十度違う方向だ。
おそらくバスの進行方向に向かって左のところを、バスを降りて左と勘違いされたのだろう。
別に急ぎの用事もないので、目的地まで送ってあげることにした。
被介護者は違うが、遠距離介護者による、近距離支援である。
その道すがら、そのオバーさんが、わが母チコちゃんと同じ86歳ということがわかった。ウチの母は要支援1なんですよと言ったら、私はそんなのは受けてませんと胸をはるオバーさん。
杖をついてはいるものの、リュックを背負い足どりは思いのほかしっかりしている。
待ち合わせ場所まで来ると、娘さんらしきオバサンが不機嫌そうに立っている。たぶん、これからの予定が狂って怒っているのだろう。
ボクにろくにお礼も言わず、オバーさんを連れて去って行く。
まぁ気持ちがわからないでもない。毎日のようには母親がトラブルを起こして自分の生活もグチャグチャになっているのかも知れない。
そんなことを思いながら帰宅すると、実家の隣に住む親戚のS子さんから「お父さんとお母さんが外に聞こえるくらいの大声でケンカしてたよ〜」と電話があったと妻からきく。
ふ〜ん、いくら大声でも800キロ離れたここまではきこえないよな〜と、ため息をつく遠距離介護者であった。
第38話につづく
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posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記
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