2017年11月22日

第53話「半漫半介」

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介護離職というものがあるそうだ。
文字通り、介護のために離職するというものである。
遠距離介護の場合、どうしても長期滞在になりがちで、会社勤めだと仕事を続けるのが難しくなるのだろう。
今回の第三次遠距離介護ツアーでは、2週間くらい父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)の住む実家に滞在しているが、ボクも周囲からは介護離職者と思われているのかもしれない。
介護離職者に見られても別にかまわないのだが、ずっとマンガ家として過ごしてきて、就職なるものをしたことがないので、そもそも離職ができない。それに、会社勤めだと有給休暇があるが、自由業にあるのは無給休暇だけである。引退してしまえば、いきなり老後生活に突入である。
そこで思いついたのが、マンガ家ならではの半漫半介生活というもの。
朝から晩まで父母につきっきりでもないので、合間をぬって仕事もしてみようと思い、MacBookProと小さなペンタブレットを持参してやって来たのだった。
さて仕事でもするかとMacBookProを手にしたとたん、机がないことに気がついた。しかたがないので、部屋の隅にあったヒーターをはずしたコタツを机替わりにしてみる。
これはとても腰が疲れる。
全然仕事がはかどらない。
それでも、なんとか調子が出てきたと思ったら、いきなりガラッと戸をあけて父ハム夫くん(92歳)が顔を出し、この部屋でコイツは何をしておるのか、といったような表情で、「仕事か…無理するなよ」とねぎらいの言葉をかけてくる。これに応対しているうちに、 なんだか調子が落ちてしまう。
しばらくして、またエンジンがかかってきたと思ったら、再び戸が開いて、今度は母チコちゃん(86歳)が「ゴハン食べるか」ときいてくる。今日は外で食べたから食事はいらないと何回も言ったのに、すっかり忘れているようす。
もう緊張の糸が切れて画面に向かう気にならないので、コピーをとりがてらコンビニに出かけて気分転換することにした。
コピーのついでに夜食を買って、家まで帰ってきたら玄関が施錠してある。何回もチャイムを押して、やっとドアを開けてくれた父ハム夫くん(92歳)がこう言った。
「あれっ、東京に帰ったんじゃなかったのか?」と。
も〜コントみたいな毎日の半漫半介生活なのだった。
第54話につづく
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posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記
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