2017年11月24日

第54話「東京五輪前シンクロ介護」

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父ハム夫くん(92歳)が銀行預金通帳をゴミに出す暴挙から始まった遠距離介護ツアーも約半年が経ち少しは落ち着いてきた。
現在では、通帳関連はボクと妹U子でほぼ把握したので、ものすご〜くメンドーな成年後見人の手続きは、今のところは手を出さなくてすんでいる。
しかし、その後も父ハム夫くんのゴミ出し運動は着実に進化していて、最近のトレンドはゴミの入ったポリ袋ごと、近所に住む親戚のS子さんの畑に埋めてしまうものだ。それを毎日S子さんがチェックして掘り出している。
まさに「権兵衛が種まきゃ」状態である。
悲惨な状況なのに、なぜか笑えてしまう。
主人公の父ハム夫くんが、バスター・キートンばりのクールな表情でいるのがよけいに可笑しい。
いまや父ハム夫くんは金銭関係にもクールでアナーキーだ!どんなに各種税金納付書が届こうと一切無視して払う気なし。そんな書類が、時々部屋のあちこちから出てくるので、その都度ボクが支払いに行くのも、ある意味日常的介護活動といえよう。
固定資産税の第○期分の納付書を発見した時には、すでに納付期限から一ヶ月が過ぎていた。
慌てて金融機関の窓口に行き「これ納付期限過ぎてるので…」と言いつつ納付書を差し出すと、応対した若いスタッフが奥のえらそうな人の所に行ってなにやら相談して戻ってきた。
「このままの金額でいいです!」ときっぱり。
向こうがそういうのならそれでいいのだが、いまだに真相はよくわからない。以前ボクが何かのミスで修正申告した時は、しっかり延滞分を納付した記憶があるのだが。
母チコちゃん(86歳)の日常介護の舞台は台所だ。
料理を作るのがだんだん負担になっているようなので、冷凍食品利用をすすめたが全くその気がない。冷凍室には正露丸の瓶やら、お弁当についている小さい醤油入れとか、冷凍する必要のないものがいっぱい詰まっている。奥の方には何かわからないものがあるようだが、怖いので探索する気にならない。
なぜ冷凍食品を使わないのか何度もきいたら「冷凍食品は不味い!」とのことだった。いったいいつのイメージなんだよ、と言いたいのをこらえて、「確かに昔の冷凍食品は不味いのもあったらしいけど今はそんなことないよ」と言ってみる。当然聞く耳持たずの母チコちゃん(86歳)である。
電灯のスイッチをオンにするのもボクのできるささやかな日常介護だ。
妙に薄暗いな〜と見上げると、台所でも居間でも消灯しているのだ。あれだけテレビやエアコンやガスや水道をつけっぱなし流しっぱなしなのに、とにかく照明のスイッチはすぐにオフにする父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)だ。
きけば「昼間は電気は消すもんじゃ」と言い切る。
う〜ん、そういえば昔は照明は夜しかつけなかったような気もする。そう、裸電球がぶらさがっていた時代の頃だ。
ゴミの話に戻るが、昔は穴を掘って埋めたり、そのへんで焚火をして燃やしたりして、ゴミの分別なんかはなかった。いまや二人の頭の中は60年くらい前の時代の感覚なのだろう。そう東京オリンピックを数年後に控えたあの頃だ。
な〜んだ東京オリンピック前を基準に考えれば、現在とシンクロしているではないか。もしかして二人の頭の中では、アベベやチャスラフスカが生き生きと躍動しているのかも知れない。父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)も生き生きと躍動していたあの頃の時代だ。
第55話につづく
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posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記
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