2017年12月08日

第59話「夫婦漫才ダブルボケボケ」

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遠距離介護生活もスタートして約半年。
父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)の二人は、順調にボケ度が進んでいる。
物忘れが激しいのはもちろん、日頃の行動もドンドン変化している。
第三次遠距離介護で実家に滞在して驚いたのが入浴問題だ。
どうも二人ともここしばらく風呂に入っていないようなのだ。
風呂が壊れたのかと調べたらそんなことはなかった。
こういう状態になったらよくあることらしいのだが、風呂に入ること自体が面倒なのか、それとも他に原因があるのか、二人にきいてもわからない。
二人の生活空間では、お風呂場はあまり重要でないのかもしれない。
まぁ、風呂に入らなくても死ぬ事はないだろうと、無理矢理考える事にする。
次に洗濯問題。
なんだか知らないが朝から一日中洗濯をしている。
まぁ洗濯機が使えるからいいとしよう。
ちゃんと干す事もできる。
そして1時間後、まだ乾いていない洗濯物を取り入れ始めるのだった。しかたないので、生乾きの洗濯物を再び干す遠距離介護者のボクでした。なんだかむなしい作業だ。
二人の生活で、時間の流れは以前とはちがうのだろう。
まぁ洗濯物が生乾きでも死ぬ事はないだろうと、無理矢理考える事にする。
少し手があいた母チコちゃん(86歳)のお決まりの話が始まる。
それは「病院で首を切られて血をとられる検査をされそうになった」というもので、一日に何度も何度も話すのが日課だ。これの真相は、病院で首のエコー検査と、血液検査をしたことがゴチャマゼになった結果のようだ。
父ハム夫くん(92歳)もボクに話しかける。
「いつ来たんじゃ?」と。しばらくすると「いつ帰るんか?」と。
このパターンが一日に数回繰り返される。
二人のこの会話パターンは今日で何度目なのかと、心の中で正の字を書くのだった。
介護とは同じ話を何度も聞く事なり!なんてフレーズが脳裏をよぎる。
この状況に耐えることが、果たしてボクの今後の人生に役に立つ事があるのだろうかと考えてみる。
もしかして将来、共謀罪を適用され何かの冤罪で捕まり、連日の執拗な取り調べを受けた時に、父母の無限ループ会話に比べればどうってことないかと思えて耐えられるかもしれないなァ、などとバカな事を考えた。
そうこうしているうちも二人の無限ループ会話は続く。
一回ハナシが終わるごとに心の中に正の字を書いていくが、正の字が四つ以上になった頃には、さすがにココロが折れてくる。
それでも、なんだかんだで一日が終わる。
しかし、次の日になると、再度同じようなことが繰り返されるのだった。
昔読んだSF小説で、朝起きると昨日と同じ一日がまた繰り返される、というものがあったが、まさにそれに近いものがある。
きょうも父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)による夫婦漫才ダブルボケボケのネタにつきあう一日がスタートした。
歩けるだけでOK!
話せるだけでOK!
生きてるだけでOK!
そう思うしかない遠距離介護者であった。
第60話につづく
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posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記
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