2018年04月23日

第82話「ラ・ラ・ラ・ラッキョがいっぱい」

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前回の第三次遠距離介護ツアー時、母チコちゃん(86歳)の買い物マイブームは豆腐だった。
今回の第四次遠距離介護ツアーで、父母が暮らすH県M市にやってきたら、母チコちゃん(86歳)のマイブームはラッキョになっていた。
スーパーに行くと、まずラッキョを買い、あちこちまわっているうちに再びラッキョを買ってくるのだ。
おかげで冷蔵庫はラッキョだらけだ。
冷蔵庫の野菜室にも、チルド室にも、冷凍室にもラッキョがあふれている。どうしてこんなにラッキョを買い続けるのか母チコちゃん(86歳)にきいたら「お父さんが好きなんじゃ」という。
父ハム夫くん(92歳)は食卓に出されたラッキョを黙々食べているから、嫌いではないのだろうが、そんなに好きとも思えない。母チコちゃん(86歳)の思い込みのような気がしないでもない。
あまりにもラッキョを買うので、母チコちゃん(86歳)が買い物に行っている間に、冷蔵庫内のあちこちに散らばっていたラッキョの小袋をまとめて大きなビニール袋にて入れてみた。
帰宅後コレを見た母チコちゃん(86歳)の言葉がすごかった。
「あら〜お父さんがラッキョが好きなのを知った誰かが、こんなにたくさんのラッキョを冷蔵庫に入れてくれたんじゃね」だって。
どこまで自分中心に考えるんだよ、まったくのところ。
このラッキョ問題のように、自分に関連するものには興味を示すが、それ以外のものには拒否反応を起こすのも母チコちゃん(86歳)の生活態度の特徴だ。例えばボクが買ってきたイングリッシュマフィン、冷凍お好み焼き、レタス、ブロッコリ、ケチャップ、マヨネーズなどは、ちょっと目を離したスキに冷蔵庫から消えてしまった。あるものは電子レンジの中に入れてあったり、あるものは食器乾燥機の中に入れてあったり、ひどい時はゴミ袋の中に捨てられたりしている。
どうしてそんなことをするのかと問いつめたら、「大事なモノのような気がしたので別の所に置いておいたんじゃ」と言い訳をするのだった。
おそらくは、自分で移動したことを忘れてしまっているのだろう。
忘れるといえば食事もそうである。
母チコちゃん(86歳)の場合、食べるのを忘れるのではなく、作った事を忘れるのだ。
夕食をすませてしばらくした時、ふとテーブルを見ると、父ハム夫くん(92歳)の前に、またしても食事の用意がしてある。
どうして食後にまた食事の用意ができるかというと、母チコちゃん(86歳)の食事に関するポリシーによるものなのだ。それは、料理を食べるだけ作るのは寂しいからというものだ。その結果、二人暮らしなのに四人家族分くらいの料理ができてしまい、食後でも食べるものはまだまだあるのだった。
父ハム夫くん(92歳)はもうあまり食べたくないと言いながら、せっかく出されたものに手をつけないのは悪いと思っているような表情で、再び箸を持つのだった。
母チコちゃん(86歳)は「マンマ食べるか?」とまだ言っている。これは、父ハム夫くん(92歳)に言ったのではなく、猫クンに言っているのだ。
猫クンも、そんなにおなかは空いてないようだが、これまた飼い主に気をつかってなのか、少しは食べている。そういえば、父も猫クンも前回の第三次遠距離介護ツアー時よりは太っているようだ。
父と猫クンを見ながら、母チコちゃん(86歳)はニコニコしている。日常のいろんなことはすぐ忘れてしまうが、その表情は多幸感にあふれている。
台所からまたまたラッキョの小皿を持ってきた。この状態では、これからもラッキョを買い続けることだろう。韓国にはキムチ用冷蔵庫があるそうだが、そのうち母チコちゃん用に、ラッキョ冷蔵庫が必要になるかもしれない。
第83話につづく
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posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記
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