2017年09月29日

第31話「アヒル声で怒りの電話」

031.jpg

第二次遠距離介護ツアーの日程も終盤にさしかかり、今のうちに出来ることをやっておく日々が続く。
きょうは通帳の自動引き落としのチェックだ。
毎月、公共料金などが銀行の口座から引き落とされているが、その中には詳細不明のものもいくつかある。
しゃれたカタカナの名称なので何かと思ったら、互助会だったりするのがちょっと笑える。
毎月けっこうな額が引き落とされているもののひとつは、どうやら何かの保険の掛け金らしい。
前述の互助会にしても、この保険らしきものにしても、「契約書はどこにある?」と父ハム夫くん(92歳)にきいても、母チコちゃん(86歳)にきいても、「知らん!」と一言。
引き落とされてるのだからなんらかの契約はしているのだろう。
そこで思い出したのが、第22話「書留を待つ日々」の回に出てきた保険会社からの契約者宛ダイレクトメールだ。状況から考えるに、この保険会社からの引き落としではなかろうか。
問い合わせコールセンターに電話をかけてきけば、詳細が判明するかもしれない。
電話急げ…いや善は急げでさっそく電話してみた。しっかし我ながらとんでもないフレーズを出してしまった。「電話急げ」なんていまどき誰も言わないぞ、と。
電話した結果は、まったく収穫なし。
コールセンターのオペレーターは、本人でないと契約状況は開示できないの一点張りなのだ。こちらも「でも父は耳が遠くて電話で会話が出来ないんです」の一点張りで、無限ループの会話が続く。
ダイレクトメールに発送元住所があったので「よっしゃ、わかった!じゃあ今からそっちに行くからな!」と言って捨てセリフを残して電話をたたきつけたのだった。
まっ、実際は行きませんが。それに発送元は外部の業者さんだろうしね。
それにしても電話口で、口をとんがらして怒鳴っていたせいで、アヒルみたいな口になってしまったよ。
保険会社との戦いは、また後日にガーガーガー。
(第32話に続く)
(C)2017 ODAMANGA.com All Rights Reserved.
posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記

2017年09月27日

第30話「猫クンと獣医師免許」

030.jpg

老夫婦ふたり、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)の生活は静かである。
二人とも耳が遠くなっているので、会話が続かないのだ。
それでもボソボソ話しかけている声がする。
お互いにではなく、猫クンに話しかけているのだ。
この猫クン、数年前に野良猫として生まれ、そのまま死にかけたところを親切な人に拾われ、縁あってもらわれてきたのだそうだ。
この猫クン、なぜかほとんど声を発しない。
そのかわり聞き上手である。
父と母が自分に向かって勝手に話すのを黙ってきいている。
ニャーとなくわけでもないのだが、父と母は楽しそうに話しかけている。
かける言葉で一番多いのは「ご飯食べたか〜?」だ。
その都度、父と母は猫クンにキャットフードを餌用の容器にいれてやっている。
物忘れの多い二人だから、さっき餌を与えたばかりなのを忘れて、日に何度もこれを繰り返している。
これへの猫クンの対応が素晴らしい。
あきらかに満腹だろうに、餌をもらうたび必ず口をつけるのだ。そして、父なり母なりが自分の方を見ている間は、少しずつ口に運んでいる。やがて、自分の方を見てないなと確認できたら、鼻息をフーッと吐き出し、どこかに歩いて行くのだった。
この猫クン、肥満気味である。父と母に気をつかって、腹ぺこでもないのに餌を食べ続けているのだから当然だろう。
「この猫クン太り過ぎじゃないの?」と父に言ったら、「獣医の目から見てこのくらいなら大丈夫じゃ」との答えがかえってきた。
そういえば、一時検討していた、ボクが父の成年後見人になる件だが、もしも父が被成年後見人になったら獣医師免許が無効になるところだった。獣医さんだったというのは、父が父たるゆえんのひとつでもあるから、この点だけでも成年後見人問題がなくなったのはよかったのかもしれない。
しかし、この猫クン、やはり食べすぎと運動不足で太り過ぎだとボクには思える。今後も健康に気をつけて、父と母の話し相手として長生きしてほしいものである。
(第31話に続く)
(C)2017 ODAMANGA.com All Rights Reserved.
posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記

2017年09月25日

第29話「フリーWi-Fi訪ねて三千歩」

029.jpg

第二次遠距離介護ツアーも、十日も経つと帰ってからの仕事の進行が心配になってくる。
父ハム夫くん(92歳)も母チコちゃん(86歳)も、今後ますます二人だけで生活するのは困難になるだろうから、次回の第三次遠距離介護ツアーはもっと長期間の実家滞在になる可能性が高い。
今回は手ブラで来たが、次回はMacBook持参で、少しばかり仕事もしてみようかと思う。
その際、インターネット接続は必須である。
しかし、ここH県M市の実家にネット環境はない。
ないのなら、探してみせよう、Wi-Fiを
ここのところ運動不足の生活だったし、フリーWi-Fiスポット探してウォーキングがてら外に出てみた。
コンビニやファーストフードのWi-Fiスポットはいくつかあったが落ち着いて仕事ができる雰囲気ではない。適当に歩いていたら市内の中心部にやってきた。市役所ロビーで接続できるようだが、やはりここも落ち着けない。隣の警察署の脇の路地を通り抜けたら、なにやら記憶にある家が見えた。中学時代の同級生H田くんの家ではないか。H田くんとはもう50年くらい会ってないが、実は不思議なご縁がある。現在、彼の息子さんが、ボクの某デジタル仕事の担当者なのだ。
そんなことを考えながら歩いていたら、ショッピングモールBBの前に出た。
入り口にフリーWi-Fiスポットのステッカーが貼ってある。
椅子とテーブルが配置された中央広場がWi-Fiスポットで、ほとんどの人が大型テレビを見ているだけで誰もネット接続している様子はない。試しに持参のiPad miniでつないでみたら予想以上の速度でネットにつながっている。セキュリティ面では問題があるかもしれないが、H田くんのご子息にデータを送ることはできるだろう。
そんなことを考えつつ家に帰って、iPhoneのヘルスケアで歩数を確認したらちょうど三千歩。
フリーWi-Fiスポット探して三千歩のウォーキングなのだった。
(第30話に続く)
(C)2017 ODAMANGA.com All Rights Reserved.
posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記

2017年09月21日

第28話「ご近所見守りシステム」

028.jpg

父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らす実家の前は美容院である。
玄関の真正面に美容院のガラス張りの入り口がある。
美容院のオーナーは、お客さんがいない時はガラス越しに外を見ていることが多い。幸か不幸か、この美容院は常時お客さんでいっぱいということはあまりない。
ということは、我が家の玄関をいつも見守ってくれているということだ。
民間の見守りサービスより、よっぽど頼りになるではないか。
先日などは、父ハム夫くんが昼寝中に母チコちゃんが出かけてしまい、急に目覚めたハム夫くんが不安になりあわてて外に出てキョロキョロしていたところを、美容院のマスターM氏が見かけて店の中に呼び入れ、お茶をふるまって落ち着かせてくれたそうだ。
見守りだけでなく、保護もしていただき感謝である。
やがて落ち着いた父ハム夫くんは、なぜか「ヒゲをあたってくれ」とリクエストしたそうだ。
美容院のマスターM氏は「ウチは美容院なのでカミソリは使えないんですよ」とお断りされたそうだ。
しばらくして、母チコちゃんも帰宅し、事なきを得たのだった。
今回のエピソードはまさにご近所見守りシステムが機能したといえる。
これだけ有用な見守りシステムを民間業者に依頼したらけっこうな料金がかかる。その代わりと言ったらアレだが、遠距離介護ツアーで実家に行くたびに、この美容院でカットしてもらうことにしたのだった。
(第29話に続く)
(C)2017 ODAMANGA.com All Rights Reserved.
posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記

2017年09月19日

第27話「詩的な医者」

027.jpg

第一次遠距離介護ツアーから帰る間際に、母チコちゃん(86歳)の様子も変なのに気付き、脳検査の予約を入れたが、その後結果を聞かずにそのままになっていた。
母の話だと、自分一人で結果を聞きに行き「大丈夫です」と医師が言ったとか。
薬も出ていないと言う。
日常的に激しくもの忘れをしているのに、本当だろうか?
今回の第二次遠距離介護ツアーを終える日が近付いたころ、受診したクリニックにボク一人で出かけて医師と話すことにした。
その結果は「お母様は認知症ではありません」とのこと。
母よ、疑ってすまなかったの〜。
脳の写真やら、テストの結果も見せてもらう。30点満点で25点もとっている。
問題を読むと、数字を逆にカウントしたり、文字を関連づけて線を結んだりと、今いきなりボクがテストされても満点をとる自信はない。
医師の説明だと、ひとつひとつの作業は出来るが、何かしながら同時に並行してする作業がうまくいかない傾向があるとのことだった。例えば、単に野菜を包丁で切ることはできるが、並行して出汁をとり具材を用意するのは難しいだろうというのだ。それで実家に滞在した10日間で一度も食卓にみそ汁が一度も出なかったのも納得がいく。
今後はどうしたらいいかとのボクの問いに、とりあえず様子をみましょうと医師が言う。
じゃあ次の受診はいつですかと聞くと、医師はしばらく考えて「雪が降る前あたりにまた来てみてください」と一言。
妙に詩的な表現をする医師なのであった。
第三次遠距離介護ツアーは、その受診に合わせて計画をたてようと、iPhoneのカレンダーを見るボク。今度はどこに途中下車してから実家に来ようか、などと介護原理主義者が聞いたら怒りそうな考えが頭に浮かぶのだった。でも、あんまり禁欲的な介護生活も疲れるし、介護する方がダウンしたら、介護される人のためにもならないしね。
(第28話に続く)
(C)2017 ODAMANGA.com All Rights Reserved.
posted by ODA-SAN at 09:00| Comment(0) | 日記