2018年04月09日

第80話「実家の法則」

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第四次遠距離介護ツアーで、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らすH県M市の実家に滞在している。
実家の3法則というものがある。
●その1、実家は寒い。
実家の所在地が北にあろうと南にあろうと、実家というものは、おしなべて寒い。
それでなくても今回の第四次遠距離介護ツアーは、日本中に大寒波が襲来した時期だったので、ことさらに寒かった。この法則は正しい。
●その2、実家の備品は壊れる。
第四次遠距離介護ツアーにやってきて、前回の第三次遠距離介護ツアー時とちがうところを点検してみる。
洗面所の流しにバスタオルが丸めてつっこんであった。
母チコちゃん(86歳)にきいたら、パイプから水が漏れるのだという。しかし、あちこち点検してみたところ、水が漏れているようにはみえない。なおもきいてみたら、ずいぶん以前にパイプが壊れて水漏れしたことがあったらしい。それなら今は大丈夫なんじゃないかと僕が言ったら、「また壊れるかもわからんので洗面所は使えんのじゃ」と母チコちゃん(86歳)。最近のことは全く覚えられないが昔起こった強烈な事柄に関してはよ〜く覚えている母だった。
台所からポタポタと音がする。
水道の蛇口のパッキンがだめになっているようだ。昔のタイプの蛇口ならパッキンを替えればいいのだろうが、最近のタイプは一体型みたいなものになっていて素人には手強そうだ。
それに寒波での水道管凍結防止の意味でも、ポタポタ水滴がたれていたほうがいいだろうと思えるので、今回はそのままにしておこう。
ふと見上げると天井の照明が暗い。
三個でセットになっている電灯のうち二個は点いているが一個はついていない。これは前回の第三次遠距離介護ツアー時にも気付いて、父母には言っておいたのだが、そのままにしていたようだ。物忘れのはげしい二人だから、このままでいくと、ある日気がつくと暗い部屋に呆然として佇む二人が発見されそうでこわくなる。グローランプを交換して原状回復。
リモコンの電池交換や、充電機器を充電する気も全然ない二人なので、ボクが遠距離介護ツアーで実家に滞在中はできるだけこのへんをメンテナンスしなければならない。
食器もやたらと欠けたものが多い。食器棚のガラス戸も割れている。コーヒーメーカーの容器も部分的に割れている。家中にたくさん置いてある時計もほとんどがとまっている。地デジ非対応のテレビも何台かある。実家の時間は数十年前でとまっているかのようだ。
備品ではないが、ゴミに関しても同様だ。
ゴミを分別して出すのは面倒なものだが、母チコちゃん(86歳)はそんなものは気にしない。そんなことではゴミ収集車が持って行ってくれないよというと、「そんなら庭で燃やす」という。いやいや最近は焚火しただけでも消防車が来るんだよとボクが言ったら、「だったら穴を掘って埋める」ときたもんだ。いったいいつの時代までさかのぼっているのだろうか、もうわけがわからない。
●その3、実家は蚊が多い
コレに関しては今回は紙面がつきたので、いずれ機会をみて次々回の第六次遠距離介護ツアーあたりで検証しよう。
第81話につづく
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2018年04月02日

第79話「ケンベン大作戦」

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てなわけで第四次遠距離介護ツアーで、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らすH県M市までやってきた。
まずは二人が暮らす実家ではなく、近所に住む親戚のS子さん(75歳)のお宅に伺い、あらかじめ送っておいた着替えが入った荷物を受け取る。
その時にS子さんから衝撃のエピソードをきかされた。
最近、父ハム夫くん(92歳)は失禁することが多くなり、濡れた下着を隠そうとするのだそうだ。先日も、玄関先の植え込みの中にオモラシした下着を丸めて置いていたのを、S子さんが発見して確認したら、ただ汚れただけでなく血がついていたのだとか。
この事をS子さんが母チコちゃん(86歳)に話したら、即座に「お父さんは痔じゃ」と言って、その後はほったらかし状態のまま、今日まで来たということだった。
今回の第四次遠距離介護ツアーの予定には入ってなかったが、翌日に内科まで父ハム夫くん(92歳)を連れて行った。
その結果、出血の原因は痔ではなかった。
しかし、体内からの出血も考えられるので検便してみましょう、というのが医師の見解だった。
便器の上に敷いて排便して、便を採取した後はそのまま流せる検便用具一式を手渡される。
さて、ここからが問題だ。
父ハム夫くん(92歳)が、この検便セットをうまく処理出来るとは思えない。一日中待機しておいてトイレに行きそうになったところをみはからってセットするしかないのか…と悩んでいたが、簡単にこの件は解決した。
父ハム夫くん(92歳)の失禁は、小だけでなく大の場合もある。この日もタイミングよくパンツの中にオモラシしてしまったので、さっそく脱がせて洗う前に便を採取し採便管に入れたのだった。
これで第1回目の検便は成功。
そう、この検便は別の日にもう一度便を採取する必要があるのだ。
ところが、この後なかなか大の方の失禁をしないのだ。
半分あきらめかけたころチャンスはやってきた。
それから数日後、朝目覚めたら、どうも家中がウンチ臭い。ニオイのもとをたどったらトイレだった。トイレなんだから少々におっても不思議はないが、それにしては臭すぎる。
おそるおそるトイレのドアをあけてみた。
便座と便器の間にウンチが大量についている。おそらく父ハム夫くん(92歳)が夜中にトイレに立った時に、失敗してしまったのだろう。
見ると、まだそんなに時間はたってないようで、これなら検便に使えるぞと閃き、あわてて部屋に戻り採取キットを持ってくる。
こうして無事に2回目の便採取も成功した。すぐにこれを持って医院に駆けつけたいところだがトイレをこのままにしておくわけにもいかない。
朝も早よからブラシ片手に便器の便をゴシゴシするのだった。
ちょうど、新企画のダジャレマンガの案を考えている時だったので、「便をゴシゴシするのは弁護士」なんてのを思いつく。後日、この案を編集者との打ち合わせ時に提案したらボツになった。
介護とダジャレは両立しないのであった。
肝心の出血の原因だが、お尻をかきむしってできた傷からのものではないかということで、小さな塗り薬を1本出してもらって一件落着した。
まずは大事にならなくてひと安心。
第80話につづく
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2018年03月26日

第78話「第四次遠距離介護ツアーに備えて」

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遠距離介護ツアーも第四次ともなると、だいぶ要領がわかってきた。
行くたびに持参する荷物は少なくなるよう工夫している。
これまでの三度に渡る遠距離介護ツアーで、少しずつ衣類を、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らすH県M市の実家に置いて帰る作戦を実行中なのだ。
しかし、衣類の色には要注意である。
父ハム夫くんは、グレー系の衣類は自分のものだと認識しているようで、ボクのシャツやパンツ(下着の方ね)でグレー系のものは、洗濯した後は自分の衣類がはいったタンスの引き出しにしまいこんでしまうのだ。原色系やボーダー系は好みでないらしく、一緒に洗濯しても見向きもしないので安全パイである。
今回は寒い季節になってから初めての遠距離介護ツアーである。
これまで実家に置いていた衣類は薄物ばかりなので、今回はあらかじめ厚手のセーターやら上着を送っておくことにする。
衣類はこれでいいとして、食器も問題である。
食器棚二つ分の食器があるものの、チマチマした小皿ばかりで、使い難いったらありゃしない。
箸も、なぜかワリバシを食器乾燥機に入れて使っている。ちゃんとした箸がどこかにありそうな気がするが、いままでは発見出来なかった。
当然、フォークもナイフもスプーンもない。
フライパンやヤカンも焦げたあとがあるものばかりで、これもほとんど使い物にならない。
ついでに衣類と一緒に食器関連も送っておくかと押し入れをゴソゴソしていたら、キャンプ用品が出てきた。
これなら通常の食器よりはコンパクトだし機能的でもある。
ついでに寝袋も送っておけば、食べるのと眠るのは大丈夫だ。
遠距離介護ツアーは、一種のサバイバルツアーでもあるので、案外とキャンプ用品は似合っているかもしれない。
さっそくトランクに詰めてみる。
それほど大きいものではないので、さすがに寝袋は入らずあきらめた。両親の住む実家は、屋根はあるのだから、寝袋は大げさだったなと納得する。
そのかわり、まだ少しだけある隙間にレトルトやフリーズドライ食品をつっこんでおく。やっぱりキャンプの荷物みたいになってきた。
あとはトランクをボストンバッグカバーで梱包して郵送するだけなのだが、まだひとつ問題がある。
はたして両親が荷物をちゃんと受け取れるかという問題だ。
これまでも、税金の納付書や介護認定結果書類などが家の中で行方不明になり、大探しした前科があるからだ。
受け取ったトランクを、見慣れないものと認識して、ゴミにでも出されたらたまらない。なにしろ、銀行の預金通帳を生ゴミに出した前科もある、父ハム夫くん(92歳)であるから。
そこで一計を案じる。
実家の近所で暮らす親戚のS子さんの住所に送る作戦である。
これで、実家に到着したら着替えがないと言う最悪の状態にならなくてすむ。
かくして、まわりの人達のあたたかいサポートで、遠距離介護は行われるのであった。
第79話につづく
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2018年03月19日

第77話「配食サービス問い合わせ」

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第四次遠距離介護ツアー前の準備が続くある日のこと。
父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らすH県M市のホームページをチェックしていたら、高齢者福祉係の記載で「食の自立支援サービス」という記載があった。
どうやら配食サービスに関するもののようだ。
配食サービスというのは、調理困難高齢者の家まで食事を持ってきてくれるサービスだと思うのだが、実態はどうなのだろうか。そこが知りたい。
現状、母チコちゃん(86歳)は毎日スーパーに買い物に行って料理らしきものを作って、父ハム夫くん(92歳)と一緒に食べているが、これまでのボクの遠距離介護ツアーで短期同居した経験では、とても食べられたものではなかった。
買い物は無計画に適当にカゴに放り込むだけで、その大半は食べられる事なく冷蔵庫の中で化石になるかゴミになるかしかない。そもそも冷蔵庫の中はとっくに消費期限を過ぎた食品であふれている。調味料もいつから使っているかわからないものだらけである。当然味付けもひどいものである。よくこんなものが食べられるものだと思うが、父ハム夫くん(92歳)も母チコちゃん(86歳)も平気で食べているから、味覚もおかしくなっているのかも知れない。
ボクも、実家からクルマで1時間の所に住んでいる妹U子も、実家で母チコちゃんが作る料理はできるだけ食べないようにしている。それでもウッカリ食べてしまい体調を崩す事もある。しかし父も母もケロッとしている。免疫ができているのか、二人とも元々丈夫なのか謎である。
そんな料理もいずれは作れなくなる日がくるだろう。
それに備えて、配食サービスというものを導入したいと考えていたので、H県M市のホームページでこの記載を見つけた時は光明が見えた気がした。
しかし、お役所のウェブサイトにありがちだが、なんとも説明不足で具体的なことがさっぱりわからない。
こんな時は直接問い合わせするのが一番だが、なぜか介護関連の役所や事業所は電話かFAXというのが多いのだ。いまどきFAXなんか使ってる人がいるのかと思うが、まぁしかたない。ウチにはFAXはないので電話するかと思ったところ、めずらしくメールアドレスの記載があったので問い合わせメールを出してみた。
本来ならこのような問題はケアマネに相談すべきなのだろうが、今はそれは避けたいのだ。
というのも、現在契約している介護事業所は、いきなり系列施設の仮申込書に記入させようとしたり、なんだか囲い込みが激しいのだ。配食までも契約してしまったらますますガンジガラメになりそうで気乗りがしないのである。それにケアマネに相談しようにも直接連絡先を教えてくれないので、介護所の代表番号らしきところに電話するしかないのだ。それすらも、こちらから要求してはじめて教えてくれた経緯がある。
そんなわけで、H県M市の高齢者福祉係にメールで問い合わせしたのだ。
はたして返答はくるのだろうか疑心暗鬼になる。
イメージとしては次のようなものだ。
高齢者福祉係内でメールチェックする人が誰もいなくて放置されるが、ある日暇をもてあました某職員が気付く。しかし、すぐに返答するのではなく、まずメール本文を職員の人数分プリントアウトする。数日後、それを見ながら会議が開かれ、返信の必要なしと判断され上司のハンコをもらって一件落着。
結局、返信はされないかもなァ…などと思っていたら数日後に返信が来た。
さっそく文面を読んでみる。
そこには、ウェブサイトの書かれていることしか記載されていなかった。いや、一文だけプラスされていた。
詳しくはケアマネに相談してください」と。
嗚呼!
メール1通で簡単に解決すると思ったワタクシがアホでした。
こうなったら、次回の遠距離介護ツアーでH県M市に行った際に、自分の足で調べるしかないと、かたく決意するのだった。
第78話につづく
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2018年03月12日

第76話「高額介護サービス費給付」

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母チコちゃん(86歳)の介護認定区分変更後、介護生活も新たな段階に入った。
その結果、要支援1から要介護2になったので、受けられるサービスも増えたが、負担金も増えた。
区分変更後、事業所からの請求書を確認したら、二人分で5万円以上になっているではないか。
施設入居に比べれば、それほどではないにしても、これから毎月この額が必要となると、負担感は大きい。
そんな時に、遠距離介護者がとる道は情報収集である。
さっそく、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らすH県M市のホームページにアクセスしてみる。
例によって、利用者が本当にほしい情報はなかなか見つからず、あちこち探しまわって、高額介護サービス費給付制度というものがあるのを発見した。
同一世帯の課税所得やら年齢やらいろいろ条件があるが、どうやら世帯で44000円以上負担した場合、それを越えた金額が給付される制度らしい。
しかし、こんな場合ほっといても自動的に給付されることはまずない。
それではどうするのか?
申請するしかない。
つまり、そのためには面倒臭い申請書をださなければならないということだ。
その申請書を入手するためにはどこに行けばいいのか?
たぶん市役所の高齢者介護課みたいな所に出向く必要があるのだろう。
さっそく次回の第四次遠距離介護ツアーのToDoリストのトップにこの件を書き込む。
しかし申請しても実際に給付されるのは数ヶ月後なんだろうなァと考えていたら、実家からクルマで1時間のところに住んでいる妹のU子からLINEで連絡が来た。
郵便物の管理ができなくなっている両親宛の郵便物は、妹のU子のところに転送する手続きをしていたのだが、今回はそれが功を奏して、市役所からの高額介護サービス費給付のお知らせが転送されてきたのだ。
まだこちらから何のアクションもしていないのに、市役所から早くも通知が来るなんてああよかった〜、で終わるのはトーシロの遠距離介護者である。
この段階のままでは、いつまでたっても給付されないのがお役所仕事の法則である。
市役所からの郵便物の中にあった申請書をすぐに発送するように妹のU子に依頼する。この素早さこそがプロの遠距離介護者である。
これで高額介護サービス費給付に関してできることは一件落着。
あとは給付を待つばかりだが、たぶん忘れた頃に入金されるんだろうな〜と思いつつ、第四次遠距離介護ツアーのToDoリストをチェックする日々が続く。
第77話につづく
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2018年03月05日

第75話「地元銀行に口座開設」

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まもなく第四次遠距離介護ツアーが始まる。
目的地は、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)の二人が暮らすH県M市の実家だ。
M市は田舎町なれど、ファミレスやコンビニもあるし、長期滞在してもそんなに問題はないのだが、日頃は現金をあまり持ち歩いていないので、クレジットカードとPASMOが使えるお店が少ないのがちょっと不便なのだ。
そのようなこれまでの遠距離介護ツアーでの経験を踏まえて、第四次遠距離介護ツアーに出る前にH県でいちばんポピュラーな銀行の口座を作る事にした。あらかじめ入金しておいて財布替わりに使おうというプランだ。
その銀行の東京支店が京橋にあるので出かけてみた。
iPhoneの地図アプリは、目的地に近付くとわかりにくくなるが、今回も例外ではなく迷ってしまった。その原因は、てっきり裏通りの雑居ビルの片隅にあると思っていたのに、表通りに面した立派なビルにその銀行の東京支店が入っていたからだ。何度もビルの前を通ったのに、気付かずに通り過ぎてしまっていた。
1階のエントランスからエレベーターで上がったら、ビルのワンフロアを占有している。思ったより大きな銀行なのかもしれない。
しかしエレベーターホールには人影がない。
1台あるATMには誰かいるようだ。
その横にドアがあったので入ってみたら、いわゆる銀行のカウンターではなく、ソファーが置いてある。日本の地銀のロビーと言うよりも、外資系銀行のフロアのようだ。
そうこうしていると、オフィスの奥からスタッフが一人でてきた。
H県を頻繁に行き来するので口座を開きたいと申し出たら、「ここは個人が貯金するところじゃない!」と門前払いの気配。
そういえばフロアに、資産運用事業部といったようなプレートが貼ってあったような気がする。
ここはこのまま引き下がって、第四次遠距離介護ツアーでH県に行ってから現地で口座を開設しようかとも思ったが、この銀行のウェブサイトに『住居地とちがう都道府県での口座開設はお断りする場合があります』と記してあったのを思い出した。おそらく口座を金融犯罪に利用される可能性があるからだろう。このままでは、H県に行って口座を開設しようとしても断られそうだ。ここはなんとしても東京支店で口座を開かねばならぬとあらためて決心をする。
それで、スタッフにこちらの事情を話して、きょう口座開設をしたいと言ったら「開設はできますがお時間がかかりますよ」と冷たいお返事。
うたれ弱い性格だから、この一言でもうすっかりやる気をなくしてしまい、下りのエレベーターに乗り込むのだった。
せっかく慣れないネクタイを締めてKAIGOにひっかけた暗証番号までいろいろ考えていたのに、時間とエネルギーの浪費だった。
京橋の駅に向かう道すがら、もしもなにかのはずみで夢の印税生活になったら、その時はこの銀行で絶対に資産運用はしないぞと寒空に誓うのだった。
第76話につづく
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2018年02月26日

第74話「灯油ストーブが出現!」

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連日寒い日が続く日本列島。
父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)の二人が暮らすH県M市の実家も冷え込む日々が続いている。
まだまだ自力で食べて歩ける二人だが、生活道具がだんだん使えなくなってきていて、冬場の灯油ストーブの使用は危険である。
そんなわけでこの冬の寒さ対策の暖房器具は電気製品だけにしていたのだが、ある日のこと、実家の近所に住む親戚のS子さん(75歳)からLINEで連絡があった。
実家の前に灯油配達トラックがとまっていたので様子を見にいったら、なんと母チコちゃん(86歳)が灯油を購入していたとのことだった。
室内には灯油ストーブも設置してあったのだそうだ。
冬を前にして、実家からクルマで1時間くらいの所に住んでいる妹U子が、物置にあった灯油ストーブは持ち帰って処分したはずなのにどういうことなのだろうか?
S子さんが母チコちゃんから聞き出した所によると、ガレージから古い灯油ストーブを持ち出してきたらしいのだ。ハム夫くん(92歳)が運転免許証を返納してからクルマは既に処分していたのだが、ガレージは物置がわりに使っていて、その中にまだいろんなものが置いてあったらしいのだ。
よくきいてみると、灯油と電気を使用するファンヒーターらしい。これなら直火を扱うわけではないので、従来の灯油ストーブよりは安全だろう。少し安心する。
それに灯油を入れるポンプは実家にないようで、親戚のS子さんがその都度自宅用のポンプを持ってきて給油してくれることになり、少なくとも給油時に灯油がこぼれて火事になる危険性は低くなった。しかし、これとて母チコちゃんがどこかでポンプを購入したらかなりまずい。
このような場合、遠距離介護者はなす術がない。
介護と言うと、車椅子をおしたり食事の世話といったイメージがあるが、実はこのような日常生活の小さな危険を取り除いて、見守っていくことこそがキモなのである。
しかし、わざわざファンヒーターに灯油を入れるために800キロ離れた実家に行くことはできない。
遠距離介護者の悩みは尽きない。
第75話につづく
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2018年02月19日

第73話「愉快な煙感知機」

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母チコちゃん(86歳)の話す内容は、基本的にまとまらない。
終わりのないエピソードが延々続く。
そんな母チコちゃん(86歳)の無限ループ話の第1位は煙感知機ネタだ。
このハナシを最初にきいたのは、半年前の第一次遠距離介護ツアーでH県M市の実家に行ったときだが、例によって詳細はあやふや。
いわゆる5W1Hが全然説明できないのが母チコちゃん(86歳)の語る逸話の特徴だが、このオハナシはその中では割とはっきりしている部類のものだ。

●いつ?
いつのことなのか不明。初めてきいたのが半年前だから、少なくとも半年より前である事は確か。このエピソードは十八番のひとつのようで、その後、何度も何度も何度も…話していて細部も大体いつも同じだから信憑性は高い。
●どこで?
二階の自室。
●誰が?
母チコちゃん(86歳)自身がきいた。
●何を?
天井に設置した煙感知器の警報を。
●なぜ?
1階の台所のフライパンの空焚きを感知したから。
●どのように?
「火事です!火事です!」と言った。

母チコちゃん(86歳)は、この警告音声「火事です!火事です!」がよっぽど印象に残ったようで、何度も何度も何度も…自分で声色を使って再現してくれる。
とても楽しそうに笑いながら「火事です!火事です!」と何度も何度も何度も…。ホントは笑い事じゃないんだけど、楽しそうだから許すとしよう。
もうすぐスタートする第四次遠距離介護ツアーで実家に行ったら、また何回も、母チコちゃん(86歳)の「火事です!火事です!」をきくことになるのだろう。
まぁホントの火事にならなくて良かったと思う事にしよう、と固くココロに誓う遠距離介護のココロだ〜っ!
第74話につづく
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2018年02月12日

第72話「ハンニャの間」

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いわゆるゴミ屋敷というほどでもないが、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)の二人が暮らすH県M市の実家は、不用品であふれている。
旅行のお土産、何かでもらった賞状や記念品、布団類、衣類、半分こわれかけた電気製品やそれらのケーブル類などが、ふだん使われていない部屋につっこまれて室内はモノであふれかえっている。
これまでの遠距離介護ツアーで実家に行ったボクは、いつもそんな部屋に寝泊まりしている。
以下は、第三次遠距離介護ツアーで実家に滞在中に起こったあるできごと。
日中は二人の相手をし、夜は得体の知れないガラクタに囲まれて生活していると精神的に疲れる。フトンにもぐりこんで、ふと目を壁にやると、そこには般若のお面が掛けられている。どこかに旅行した時のお土産かも知れないが、ジッとこちらを見下ろしている。
そんなわけで、ボクは密かにこの部屋を「ハンニャの間」と名付けている。
般若と目を合わせたくないので横を向くと、地震に備えて家具等を固定するツッカイ棒のようなものが転がっていた。出入り口のガラス戸にはガムテープを貼ったあともある。今まで気がつかなかったが、いったいこれは何なのか?忘れないようにiPhoneにメモして眠りにつく。
翌日、この件について父母にきいてみたら、「お客さんの誰かが勝手に部屋をのぞいたり入ってきたりするので、出入り口にツッカイ棒をしたり、ガムテープで封印したんじゃ」と言うのだった。
その誰かとはダレ?ときいても「さぁ誰じゃったか」という予想通りの回答が返ってきた。
お客さんが来ることは最近はほとんどないような日々を送る二人の生活なのに、いったいこのツッカイ棒とガムテープの件は、どういう意味なんだろうか。
謎の多いこの家に、またひとつ謎が増えた。
真実は、壁にかかった般若のお面だけが知っている。
第73話につづく
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2018年02月05日

第71話「ナゾの書類捺印」

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H県M市で暮らす、父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)のダブルボケボケコンビの日常は、不安定ながらもなんとかギリギリ低空飛行の日々が続いている。
離れて暮らす遠距離介護者のボクとしては、次の遠距離介護ツアーに備えて英気を養いつつ、実家に行ったときのToDoリストを作っている今日この頃である。
言ってみれば、今は第三次遠距離介護ツアーと第四次遠距離介護ツアーの間で、氷河時代でいうと間氷期のようなものだ。
そんなある日のお昼、介護事業所のスタッフからボクに電話連絡があった。
それは、午前中に服薬確認のために訪問したら、母チコちゃん(86歳)が書類捺印のため印鑑を探していた、というものだ。
もしや、怪しいセールスにひっかかかって、高額の契約を結ぼうとしているのかも知れない。
すぐに実家に電話をしてみたら、なんとか印鑑は探す出す事ができて、無事に捺印したと母チコちゃん(86歳)は得意そうに言うのだった。
何の書類に捺印したのかときいたら、「さぁ何じゃったか…」と予想通りの展開だった。
いろいろと質問して聞き出した所、どうも某金融機関がらみのようである。
これ以上、母チコちゃん(86歳)と話しても埒はあかないので電話を切り、どう対処するか考える。
まずはその金融機関に電話してみるが、スタッフが実家を訪問して書類に捺印を求めた形跡はないという。
う〜ん、さらに考えを巡らせる。
そういえばこの金融機関の口座から、毎年この時期に引き落としがあったのを思い出した。そのことを電話に出た金融機関のスタッフに言ったら、該当する引き落とし先の電話番号を教えてくれた。意外とすんなり教えてくれたが、口座名義人の家族と名乗る者(ボクのことね)からの電話での問い合わせに、こんなに簡単に個人情報を開示していいものだろうかと思いつつも、対応にお礼を言って引き落とし先と思われる所に電話してみた。
その結果、あっさりとこの事件は解決した。経緯は以下の通りである。
引き落とし先は火災保険関連だった。
まず午前9時頃、保険会社のスタッフが火災保険更新の書類を持ってやって来た。母チコちゃん(86歳)が応対したが印鑑が見当たらないので、スタッフは一旦帰った。
午前10時前、介護事業所のスタッフが訪れ、印鑑を探しまわる母チコちゃん(86歳)を確認。一緒にさがすものの見つからずその場を去る。
お昼前、再度保険会社のスタッフが訪問。その時は母チコちゃん(86歳)は印鑑を見つけていて、更新申請書類に捺印する。
お昼頃、介護事業所のスタッフがボクに電話で連絡。
てなわけで、一件落着。
次回、第四次遠距離介護ツアーでは、金融機関口座の引き落とし関連の確認をまずやらねばと、ToDoリストのトップに記すのだった。
第72話につづく
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