2017年09月15日

第26話「冷蔵庫とレンジとゴミと」

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母チコちゃん(86歳)の買い物に関しては第4話で書いたが、今回は買い物後のオハナシ。
本日の買い物は、和牛ステーキ、ヒレカツ、チキン唐揚げ、焼き鳥、照り焼き、刺身、握り寿司、どれも大きいパックのものばかり。
とても老夫婦二人分の食卓用とは思えない。
たぶん1週間分のまとめ買いなのだろう。
帰宅後、冷蔵庫に今買ってきた食材を冷蔵庫に入れるのだが、二つある冷蔵庫のどちらも満杯状態で無理矢理押し込んでいる。中を見ると今買ってきたような食材がいっぱい詰まっている。1週間分のまとめ買いではなく、毎日こんな買い物をしているようだ。
そして夕食。
テーブルの上には、酢豚、煮魚、冷や奴、ご飯が並ぶ。
さきほどの買い物は何だったんだ?冷や奴も今日買った豆腐ではないようだ。冷蔵庫の中をチェックしたら期限切れの豆腐がいくつか出てきた。
物忘れはあるものの、自力で買い物して、ちゃんと食べてるんだから大丈夫と思っていたが、この状態はかなりまずい。
食後の洗いものをしたあと、ふとレンジを見たら、食卓に出なかった天ぷらと握り寿司が入っていた。
その後、この天ぷらと握り寿司は冷蔵庫にしまわれ、また出し忘れ、レンジ過熱して冷蔵庫で冷やす行程を数回繰り返し、結局ゴミになったのだった。
そうか、二人暮らしにしては異常にゴミが多いと思ったら、無計画な買い物が原因だったのか。
遠距離介護者としては、いつも買い物に付き添うわけにもいかないし、冷蔵庫とゴミのチェックも頻繁にはできないし、またまた困った問題に直面したのだった。
(第27話に続く)
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2017年09月13日

第25話「補聴器よりもメガホン」

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父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らす家は、二人暮らしなのに賑やかだ。
二人の会話がはずんでいるという意味ではない。
実際はその逆で、二人の間ではうまく会話が成立していない。
原因は二人とも耳が遠いからである。
補聴器は使いたくないということで、父ハム夫くんも母チコちゃんも裸耳のままなのだ。
当然のことながら、テレビの音量は大きい。
外から電話した時など、テレビの音が大きすぎて話す声がききとれないくらいだ。
そんな二人に話しかけるには、大声を出すしかない。
しかしこれは話す方に負担がかかる。
実際、数日間に渡って大声で両親に話しかけたボクの声はガラガラになってしまった。
かといって筆談と言うのも、iPadで大きいフォントで試してみたが、書く方も読む方も妙に疲れる。
そんな時、ふと部屋の隅にある野球応援用のメガホンに目が入った。
父も母も地元のプロ野球チームのファンで、地元の球場に足を運ぶこともあるようで、スタンドで応援する姿の写真を、卓上に飾っている。
このメガホンで話しかけてみた。
おお、よく聴こえるようで、素早い反応がかえってくるではないか。これは使えるぞ。
母の買い物に同行する時も、首から例の介護マークをぶら下げて、手にはこのメガホンを持てば意思の疎通もスムースにできる。
ただし、あんまり介護をしているように見えないのが玉にキズであるが。
(第26話に続く)
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2017年09月11日

第24話「父、散髪に行く」

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父ハム夫くん(92歳)の朝は午前6時のめざまし時計のベル音で始まる、わけではなく5時には目覚めて朝刊をとりにいくことから始まる。
父ハム夫くんは耳が遠くなっているので、午前6時のめざまし時計のベル音はきこえない。たぶん現役時代にセットしたままになっていて、獣医を引退して久しい今も、毎朝ムダにベルの音を鳴らしているのだろう。
朝食をとった後は薬を飲んで、テレビを見つつ、ウツラウツラするのが日課になっている。
しかし今日はちがう。
いつになくはりきって、ポケットがいっぱいついた外出用のベストを着用している。ポケットに封筒を入れている。封筒には「予備費」と書いてある。もう銀行でやりとりができなくなっているのに、どこからかヘソクリを出してきたようだ。
きょうは床屋に行く!
突然の父ハム夫くんの宣言である。
第二次遠距離介護ツアーで数日同居しているが、父の行動範囲は玄関から裏口ぐらいまでで、とても床屋さんに自力で歩いて行けるとは思えない。
そんなことを思いつつ、iPhoneでメールをチェックしていたら、父の姿が見当たらない。あわてて外に出たら、100メートル先を一人で歩いている。どうやらほんとに床屋をめざしているようだ。その歩きっぷりがなかなかしっかりしていたので、思わずiPhoneのカメラを起動してムービーを撮影する。後日、この動画を妻や妹に見せたら「こんなに歩けるとは!」と同じような感想をもらしたのだった。
床屋さんに入るのを確認して、散髪が終わる頃に床屋さんに父を迎えに行った。
お店の人に支払いはちゃんとできたかきいたら、三千円のところを三万円払おうとしたそうだ。千円札と一万円札の区別がつかなくなっているのか。
帰路は二人で肩を並べて歩いて帰った。
父は途中で疲れたのか、ボクの手を握ってきて少しよろつきながらも、なんとか無事に家に帰り着いた。
玄関に入る時にボクに向かって「ありがとう」と言って家の中に入っていった。
父からありがとうなんて言われたのは初めてだったから、どう返答していいかわからず、その場に立ちすくむボクだった。
父の背中がひときわ小さく見えた瞬間だった。
(第25話に続く)
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2017年09月08日

第23話「介護疲れ、ご用心!」

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遠距離介護ツアーも数日が経過すると、それなりに落ち着いて来る。
親の介護と言ったら、車椅子を押し、食事の世話をして、といったイメージがあるが、ウチの両親の場合、自力で動けて、食事もでき、テレビやエアコンのリモコンも使えるしで、起きて眠るまでのサイクルにとりたてて問題はなく、ボクが直接的に何かすることはほとんどない。
ただ、郵便物の処理や、銀行や役所の手続き等が、誰かの手助けが必要なレベルになっているので、そのへんはサポートしなければならない。
しかし、一日中常に「介護」の文字が脳裏をよぎっている状態ではない。
それに、毎日朝から晩までカイゴ、カイゴ、と言ってたら、介護するほうもされるほうも、いい加減疲れてしまう。
とりたてて役所などとの交渉事がない日は、介護もお休みしてブラブラしてみる。
両親が住むH県M市にしてはめずらしいオシャレっぽいカフェがあったので入ってみた。
入り口付近の黒板にチョークでなにやらメニューが書いてあるが、老眼には小さすぎて読めないので、無視ししてそのまま店内に。
カウンターもテーブルも厚めの板で、観葉植物がそこかしこに置いてあり、気分が落ち着く。
魚と野菜中心のランチをいただき、ゆったりと食後のコーヒーを楽しむ。
う〜ん、介護生活の疲れがとれる〜(と言うほどには介護してないですがね。)
気にいったのでまた来ようと思いつつ、レジに向かって歩を進めると、ドーンと凄い音がして視界が揺れ、気がついたら尻餅をついていた。
テーブル席とレジがある床に10センチくらいの段差があったのだ。しかし、この程度で転倒するなんて、やはり介護疲れなのかもしれない。
次の瞬間、なにごともなく素早くたちあがり逃げるように立ち去ったのだった。
あとで妹U子にこの話をしたら、妹の知り合いがやっている店だったので。「派手に転んだオヤジが兄です!と言っておいてくれや」と伝言しておいた。
後日、妹から電話があり「段差で転ぶ人はよくいるからどの人がお兄さんかわからないよ〜」と言われたそうだ。
そんなに転ぶ人がいるのなら、段差を解消する工事をしたほうがいいんじゃないのかとも思う。
もし、あのとき打ち所が悪くて入院でもしていたら、介護に来たのに、介護される方になっていたのかもしれないのだから。
(第24話に続く)
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2017年09月06日

第22話「書留を待つ日々」

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今回の第二次遠距離介護ツアーは、ケアマネさんとの打ち合わせに金融機関巡りとアグレッシブな日々が続いたが、うってかわって静かな日々が続くこともあった。
父ハム夫くん(92歳)名義の再発行されたキャッシュカードが簡易書留で届くはずなのだが、到着まで三日から一週間かかるとのことで、その間することはただ待つだけ。
しかも、ちょっと目を離したスキに父が受け取ったりしたら、以前の介護認定結果通知の時のように、またまたどこかにしまいこんで半永久的に出てこないかもしれないので、気が抜けない。
無事に受け取ったら、ひとまず通帳印鑑とも銀行の貸金庫にあずけることに、あらかじめ妹と相談して決めている。
そんな状態で、いつ書留が届いてもいいように受け取り用の印鑑をポケットに入れて待機していた。
何もしないで待つのは疲れる。
静かに一日が過ぎて行く。
四日、五日たっても届かない。
ずっと家にこもっているのも疲れるので、散歩がてら外に出たら、道の向こう側に郵政カブが停まっている。ダメ元で父宛に書留が来てないか配達スタッフに聞いてみたら、ボックスをあけて確かめてくれて、一通あるとのこと。
その場で免許証を出して見せ、ポケットに入れていた印鑑で捺印し簡易書留を受け取る。
しかし、路上でいきなり呼び止めた家族と言えども本人でもない人物に郵便物を渡してもいいのだろうか。それに、苗字は同じものの住所がちがう免許証が親子の証明になるのだろうか。しかもポケットからいきなり印鑑を出すのも怪しいではないか。
なにはともあれ、これで再発行キャッシュカードは無事に受け取ることができた。
と思って手にした封書を見たら、銀行からではなく保険会社からのダイレクトメールだった。
結局、再発行キャッシュカードが届いたのは数日後、帰京する前日だった。
今回利用したJRの往復キップの有効期間は12日間だったのだが、11日目にやっと届いたのだ。
順調にいっているようにみえて、実は薄氷を踏む思いの遠距離介護生活なのだった。
(第23話に続く)
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