2017年09月21日

第28話「ご近所見守りシステム」

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父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らす実家の前は美容院である。
玄関の真正面に美容院のガラス張りの入り口がある。
美容院のオーナーは、お客さんがいない時はガラス越しに外を見ていることが多い。幸か不幸か、この美容院は常時お客さんでいっぱいということはあまりない。
ということは、我が家の玄関をいつも見守ってくれているということだ。
民間の見守りサービスより、よっぽど頼りになるではないか。
先日などは、父ハム夫くんが昼寝中に母チコちゃんが出かけてしまい、急に目覚めたハム夫くんが不安になりあわてて外に出てキョロキョロしていたところを、美容院のマスターM氏が見かけて店の中に呼び入れ、お茶をふるまって落ち着かせてくれたそうだ。
見守りだけでなく、保護もしていただき感謝である。
やがて落ち着いた父ハム夫くんは、なぜか「ヒゲをあたってくれ」とリクエストしたそうだ。
美容院のマスターM氏は「ウチは美容院なのでカミソリは使えないんですよ」とお断りされたそうだ。
しばらくして、母チコちゃんも帰宅し、事なきを得たのだった。
今回のエピソードはまさにご近所見守りシステムが機能したといえる。
これだけ有用な見守りシステムを民間業者に依頼したらけっこうな料金がかかる。その代わりと言ったらアレだが、遠距離介護ツアーで実家に行くたびに、この美容院でカットしてもらうことにしたのだった。
(第29話に続く)
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2017年09月19日

第27話「詩的な医者」

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第一次遠距離介護ツアーから帰る間際に、母チコちゃん(86歳)の様子も変なのに気付き、脳検査の予約を入れたが、その後結果を聞かずにそのままになっていた。
母の話だと、自分一人で結果を聞きに行き「大丈夫です」と医師が言ったとか。
薬も出ていないと言う。
日常的に激しくもの忘れをしているのに、本当だろうか?
今回の第二次遠距離介護ツアーを終える日が近付いたころ、受診したクリニックにボク一人で出かけて医師と話すことにした。
その結果は「お母様は認知症ではありません」とのこと。
母よ、疑ってすまなかったの〜。
脳の写真やら、テストの結果も見せてもらう。30点満点で25点もとっている。
問題を読むと、数字を逆にカウントしたり、文字を関連づけて線を結んだりと、今いきなりボクがテストされても満点をとる自信はない。
医師の説明だと、ひとつひとつの作業は出来るが、何かしながら同時に並行してする作業がうまくいかない傾向があるとのことだった。例えば、単に野菜を包丁で切ることはできるが、並行して出汁をとり具材を用意するのは難しいだろうというのだ。それで実家に滞在した10日間で一度も食卓にみそ汁が一度も出なかったのも納得がいく。
今後はどうしたらいいかとのボクの問いに、とりあえず様子をみましょうと医師が言う。
じゃあ次の受診はいつですかと聞くと、医師はしばらく考えて「雪が降る前あたりにまた来てみてください」と一言。
妙に詩的な表現をする医師なのであった。
第三次遠距離介護ツアーは、その受診に合わせて計画をたてようと、iPhoneのカレンダーを見るボク。今度はどこに途中下車してから実家に来ようか、などと介護原理主義者が聞いたら怒りそうな考えが頭に浮かぶのだった。でも、あんまり禁欲的な介護生活も疲れるし、介護する方がダウンしたら、介護される人のためにもならないしね。
(第28話に続く)
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2017年09月15日

第26話「冷蔵庫とレンジとゴミと」

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母チコちゃん(86歳)の買い物に関しては第4話で書いたが、今回は買い物後のオハナシ。
本日の買い物は、和牛ステーキ、ヒレカツ、チキン唐揚げ、焼き鳥、照り焼き、刺身、握り寿司、どれも大きいパックのものばかり。
とても老夫婦二人分の食卓用とは思えない。
たぶん1週間分のまとめ買いなのだろう。
帰宅後、冷蔵庫に今買ってきた食材を冷蔵庫に入れるのだが、二つある冷蔵庫のどちらも満杯状態で無理矢理押し込んでいる。中を見ると今買ってきたような食材がいっぱい詰まっている。1週間分のまとめ買いではなく、毎日こんな買い物をしているようだ。
そして夕食。
テーブルの上には、酢豚、煮魚、冷や奴、ご飯が並ぶ。
さきほどの買い物は何だったんだ?冷や奴も今日買った豆腐ではないようだ。冷蔵庫の中をチェックしたら期限切れの豆腐がいくつか出てきた。
物忘れはあるものの、自力で買い物して、ちゃんと食べてるんだから大丈夫と思っていたが、この状態はかなりまずい。
食後の洗いものをしたあと、ふとレンジを見たら、食卓に出なかった天ぷらと握り寿司が入っていた。
その後、この天ぷらと握り寿司は冷蔵庫にしまわれ、また出し忘れ、レンジ過熱して冷蔵庫で冷やす行程を数回繰り返し、結局ゴミになったのだった。
そうか、二人暮らしにしては異常にゴミが多いと思ったら、無計画な買い物が原因だったのか。
遠距離介護者としては、いつも買い物に付き添うわけにもいかないし、冷蔵庫とゴミのチェックも頻繁にはできないし、またまた困った問題に直面したのだった。
(第27話に続く)
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2017年09月13日

第25話「補聴器よりもメガホン」

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父ハム夫くん(92歳)と母チコちゃん(86歳)が暮らす家は、二人暮らしなのに賑やかだ。
二人の会話がはずんでいるという意味ではない。
実際はその逆で、二人の間ではうまく会話が成立していない。
原因は二人とも耳が遠いからである。
補聴器は使いたくないということで、父ハム夫くんも母チコちゃんも裸耳のままなのだ。
当然のことながら、テレビの音量は大きい。
外から電話した時など、テレビの音が大きすぎて話す声がききとれないくらいだ。
そんな二人に話しかけるには、大声を出すしかない。
しかしこれは話す方に負担がかかる。
実際、数日間に渡って大声で両親に話しかけたボクの声はガラガラになってしまった。
かといって筆談と言うのも、iPadで大きいフォントで試してみたが、書く方も読む方も妙に疲れる。
そんな時、ふと部屋の隅にある野球応援用のメガホンに目が入った。
父も母も地元のプロ野球チームのファンで、地元の球場に足を運ぶこともあるようで、スタンドで応援する姿の写真を、卓上に飾っている。
このメガホンで話しかけてみた。
おお、よく聴こえるようで、素早い反応がかえってくるではないか。これは使えるぞ。
母の買い物に同行する時も、首から例の介護マークをぶら下げて、手にはこのメガホンを持てば意思の疎通もスムースにできる。
ただし、あんまり介護をしているように見えないのが玉にキズであるが。
(第26話に続く)
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2017年09月11日

第24話「父、散髪に行く」

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父ハム夫くん(92歳)の朝は午前6時のめざまし時計のベル音で始まる、わけではなく5時には目覚めて朝刊をとりにいくことから始まる。
父ハム夫くんは耳が遠くなっているので、午前6時のめざまし時計のベル音はきこえない。たぶん現役時代にセットしたままになっていて、獣医を引退して久しい今も、毎朝ムダにベルの音を鳴らしているのだろう。
朝食をとった後は薬を飲んで、テレビを見つつ、ウツラウツラするのが日課になっている。
しかし今日はちがう。
いつになくはりきって、ポケットがいっぱいついた外出用のベストを着用している。ポケットに封筒を入れている。封筒には「予備費」と書いてある。もう銀行でやりとりができなくなっているのに、どこからかヘソクリを出してきたようだ。
きょうは床屋に行く!
突然の父ハム夫くんの宣言である。
第二次遠距離介護ツアーで数日同居しているが、父の行動範囲は玄関から裏口ぐらいまでで、とても床屋さんに自力で歩いて行けるとは思えない。
そんなことを思いつつ、iPhoneでメールをチェックしていたら、父の姿が見当たらない。あわてて外に出たら、100メートル先を一人で歩いている。どうやらほんとに床屋をめざしているようだ。その歩きっぷりがなかなかしっかりしていたので、思わずiPhoneのカメラを起動してムービーを撮影する。後日、この動画を妻や妹に見せたら「こんなに歩けるとは!」と同じような感想をもらしたのだった。
床屋さんに入るのを確認して、散髪が終わる頃に床屋さんに父を迎えに行った。
お店の人に支払いはちゃんとできたかきいたら、三千円のところを三万円払おうとしたそうだ。千円札と一万円札の区別がつかなくなっているのか。
帰路は二人で肩を並べて歩いて帰った。
父は途中で疲れたのか、ボクの手を握ってきて少しよろつきながらも、なんとか無事に家に帰り着いた。
玄関に入る時にボクに向かって「ありがとう」と言って家の中に入っていった。
父からありがとうなんて言われたのは初めてだったから、どう返答していいかわからず、その場に立ちすくむボクだった。
父の背中がひときわ小さく見えた瞬間だった。
(第25話に続く)
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2017年09月08日

第23話「介護疲れ、ご用心!」

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遠距離介護ツアーも数日が経過すると、それなりに落ち着いて来る。
親の介護と言ったら、車椅子を押し、食事の世話をして、といったイメージがあるが、ウチの両親の場合、自力で動けて、食事もでき、テレビやエアコンのリモコンも使えるしで、起きて眠るまでのサイクルにとりたてて問題はなく、ボクが直接的に何かすることはほとんどない。
ただ、郵便物の処理や、銀行や役所の手続き等が、誰かの手助けが必要なレベルになっているので、そのへんはサポートしなければならない。
しかし、一日中常に「介護」の文字が脳裏をよぎっている状態ではない。
それに、毎日朝から晩までカイゴ、カイゴ、と言ってたら、介護するほうもされるほうも、いい加減疲れてしまう。
とりたてて役所などとの交渉事がない日は、介護もお休みしてブラブラしてみる。
両親が住むH県M市にしてはめずらしいオシャレっぽいカフェがあったので入ってみた。
入り口付近の黒板にチョークでなにやらメニューが書いてあるが、老眼には小さすぎて読めないので、無視ししてそのまま店内に。
カウンターもテーブルも厚めの板で、観葉植物がそこかしこに置いてあり、気分が落ち着く。
魚と野菜中心のランチをいただき、ゆったりと食後のコーヒーを楽しむ。
う〜ん、介護生活の疲れがとれる〜(と言うほどには介護してないですがね。)
気にいったのでまた来ようと思いつつ、レジに向かって歩を進めると、ドーンと凄い音がして視界が揺れ、気がついたら尻餅をついていた。
テーブル席とレジがある床に10センチくらいの段差があったのだ。しかし、この程度で転倒するなんて、やはり介護疲れなのかもしれない。
次の瞬間、なにごともなく素早くたちあがり逃げるように立ち去ったのだった。
あとで妹U子にこの話をしたら、妹の知り合いがやっている店だったので。「派手に転んだオヤジが兄です!と言っておいてくれや」と伝言しておいた。
後日、妹から電話があり「段差で転ぶ人はよくいるからどの人がお兄さんかわからないよ〜」と言われたそうだ。
そんなに転ぶ人がいるのなら、段差を解消する工事をしたほうがいいんじゃないのかとも思う。
もし、あのとき打ち所が悪くて入院でもしていたら、介護に来たのに、介護される方になっていたのかもしれないのだから。
(第24話に続く)
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2017年09月06日

第22話「書留を待つ日々」

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今回の第二次遠距離介護ツアーは、ケアマネさんとの打ち合わせに金融機関巡りとアグレッシブな日々が続いたが、うってかわって静かな日々が続くこともあった。
父ハム夫くん(92歳)名義の再発行されたキャッシュカードが簡易書留で届くはずなのだが、到着まで三日から一週間かかるとのことで、その間することはただ待つだけ。
しかも、ちょっと目を離したスキに父が受け取ったりしたら、以前の介護認定結果通知の時のように、またまたどこかにしまいこんで半永久的に出てこないかもしれないので、気が抜けない。
無事に受け取ったら、ひとまず通帳印鑑とも銀行の貸金庫にあずけることに、あらかじめ妹と相談して決めている。
そんな状態で、いつ書留が届いてもいいように受け取り用の印鑑をポケットに入れて待機していた。
何もしないで待つのは疲れる。
静かに一日が過ぎて行く。
四日、五日たっても届かない。
ずっと家にこもっているのも疲れるので、散歩がてら外に出たら、道の向こう側に郵政カブが停まっている。ダメ元で父宛に書留が来てないか配達スタッフに聞いてみたら、ボックスをあけて確かめてくれて、一通あるとのこと。
その場で免許証を出して見せ、ポケットに入れていた印鑑で捺印し簡易書留を受け取る。
しかし、路上でいきなり呼び止めた家族と言えども本人でもない人物に郵便物を渡してもいいのだろうか。それに、苗字は同じものの住所がちがう免許証が親子の証明になるのだろうか。しかもポケットからいきなり印鑑を出すのも怪しいではないか。
なにはともあれ、これで再発行キャッシュカードは無事に受け取ることができた。
と思って手にした封書を見たら、銀行からではなく保険会社からのダイレクトメールだった。
結局、再発行キャッシュカードが届いたのは数日後、帰京する前日だった。
今回利用したJRの往復キップの有効期間は12日間だったのだが、11日目にやっと届いたのだ。
順調にいっているようにみえて、実は薄氷を踏む思いの遠距離介護生活なのだった。
(第23話に続く)
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2017年09月04日

第21話「金融機関めぐり」

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成年後見人になる必要がなくなったのでひと安心したのもつかの間、まだまだ金銭問題のあれやこれやが続く。
メインバンクの銀行の印鑑とキャッシュカード問題は解決したが、他にも複数の通帳やら証書が出てきた。信用金庫、ゆうちょ銀行、JAバンク等の通帳と、関連がハッキリしない印鑑も数本ある。
午前に一カ所、午後に一カ所と、確認作業のため数日間かけて金融機関めぐりをした。
親のものとはいえ、自分の口座ではないから、あやしまれる確率は高い。
そのために住民票、戸籍謄本、それに印鑑証明まで持参して準備万端の体勢でのぞんだのだった。もちろん運転免許証と、念のためパスポートも持って行った。
しかし、これらは全く必要なかった。
どこの金融機関からも、まったく提示を求められなかったのだ。
セキュリティ対策的にはいかがなものかと思いつつも、何のトラブルもなく親の通帳と印鑑の関連を確認できたのだから、良しとしよう。
当然のことながら、例の介護マークも首からぶらさげて各金融機関をめぐったのだが、どこのスタッフも全く気にもとめなかった。
これ、ホントに使ってる人っているんだろうか。
(第22話に続く)
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2017年09月01日

第20話「成年後見人問題解決」

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今回の第二次遠距離介護ツアーの目的のひとつに成年後見人問題解決がある。
前回の第一次遠距離介護ツアーで、父ハム夫くん(92歳)のメインバンクに行き、見当たらないハンコの改印届けと、紛失したらしいキャッシュカード再発行を依頼したら「ご本人でないと手続きはできません、成年後見人ならできますが」という反応で、ひきさがったままなのだった。
父にこの件を話しても何の返事もかえってこない。
他のことなら会話が成立するのに、なぜか金銭関連のことになると貝のように口を閉ざしてしまうのだ。
このままでは両親の生活費をひきだすのもままならない。
とにかく現状を打破するため、妹U子の運転するクルマに父を乗せ、三人でカープ銀行をめざした。
しかし、銀行の駐車場に着いたものの、父は銀行内には入りたくないようでクルマから降りない。
やはり成年後見人手続きをするしかないのか。
しかたないのでボクだけが銀行内に入りこれまでの経緯を説明すると、スタッフの答えは明快だった。
「それでは私が駐車場に行き、お父様の意志を確認します」とキッパリ。
そういえば前回の介護ツアーで来た時にも「駐車場まで来ていただければ」と言われたような気がする。こういうシチュエーションはよくあることなのかも知れない。
以下、駐車場での会話
銀「お父様のハム夫さんですか?」
父「…」なんとなくうなずく。
銀「改印届けとカード再発行されますか?」
父「…」なんとなくうなずく。
銀「はい、ご本人の意志を確認いたしました」
ボクと妹「えっ!?」
この後は、再び銀行内に入って手続き完了、メデタシメデタシ。
あれだけ成年後見人に関する本を何冊も読んで、大変そうだけどこれも父のためだ、やってやろうじゃないか〜と思っていたのに、あっけなく解決したのだった。
こうして複数の書類に署名やら捺印する間、例の介護マークが入ったホルダーをさりげなくカウンターに置いていたのだが、銀行スタッフはチラッと見ただけで何の反応も見せない。
ケアマネさんとの打ち合わせ時にもそうだったが、この介護マークは世間に浸透していないようであった。
(第21話に続く)
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2017年08月31日

第19話「ノーマーク介護マーク」

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ケアマネさんとの交渉も無事に進行し、めでたく介護サービスの契約手続きが終了した。
今後の具体的な流れの説明を受けた後、雑談モードになったときに、例のナニをテーブルの上に出したのだった。
それは、市役所の高齢者福祉課介護保険係で交付してもらった介護マーク
これから本格的に始まる介護生活で、ボクのやる気マンマンぶりを誇示してみたのだ。
どうだ!とばかりに、ふんぞりかえって鼻息を荒くするボク。
それに対して、ジッと黙り込んで介護マークを見つめるケアマネさん。
「それ何ですか?」と一言。
「えっ?」と、今度はボクが驚いた。
地元の介護業界人がこれを知らないなんて!
そういえば、介護マークを出してくれた市役所の窓口のスタッフも「ホントにコレを使う人がいるなんて…」みたいな、変な雰囲気だった。
もしかして、この介護マークは、一般には浸透していないのだろうか。
介護マークを見つめるケアマネさんは「これ私たちも欲しいわ〜」などと感想を述べている。
せっかくはりきって、どんなもんだいモードだったのに、萎えてしまうボクでした。
でも、せっかく入手したものだから、今回の介護ツアー中は首からぶら下げて活動することにしよう。
これをみた人々の反応がどんなものになるのか、こわいような、楽しいような、果たしてどうなるものやら。
(第20話に続く)
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